肉・魚は摂らず、玄米・納豆・味噌汁のみ マスターズ14回優勝の87歳ボディビルダーが徹底的にこだわる食生活




JBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)において、トップクラスの高齢ビルダーである金澤利翼(かなざわ・としすけ)、87歳。

20代で2度の日本選手権王者(ミスター日本)に輝き、一度現役を離れるも50歳でカムバック。その後も40歳以上を対象とした日本マスターズ選手権で通算14回優勝するなど活躍している。今年の目標はマスターズ15回目の優勝、ミスター日本の実績と合わせて17回目の日本一をつかむことだ。

一度現役を離れ、50歳から競技に復帰するのは容易ではなかった。その中で彼は、衰えた体をつくり直すためのキーになったのが食事だったと振り返る。そんな鉄人にこだわりの食生活について語ってもらった。

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胃腸の調子を整えることが一番

――食生活に注力されているとのことですが、日頃の取り組みを教えてください。

「基本的には50歳から肉、魚、牛乳、ヨーグルトなどを食べていなくて、1日3食、玄米と納豆と味噌汁をベースにしています。ここにプラスで、足りない栄養をサプリで摂る形です。具体的にはプロテインやマルチビタミン、オメガ3脂肪酸などですね。この食生活を死ぬまで貫きたいと思っています」

――その食生活を続ける理由とは?

「胃腸の調子を整えることに重点を置いているからです。私の体感ですけど、50歳を過ぎると内臓が弱っていって、食べたものを上手く消化できなくなってくるんです。そこで思い出したのが、幼少期の地元の食事でした。かつては戦時中でしたし、百姓の一家が多い地域でしたので、農作物中心の質素な食事が日常でした。そういう食生活を送ってきた老人を見ると、とにかく病気にならず、お亡くなりになる時も病気ではなく老衰で逝くんです。それで『健康のヒントは質素な食事にあるのでは』と考え、現在のような食事に切り替えました。それで今も競技を続けられて、優勝を重ねられていますから、自分に合っていたんだと思います」

――2度の全日本チャンピオンに輝いた20代の頃の食事はいかがでしたか。

「若い頃は私もうんと食べました。食事が体をつくると思っていましたから、もちろん肉も食べました。ただ、細かくは考えていなくて、お腹がすいたらとにかく食べるという感じでしたね。大酒飲みではなかったですけど、ビールもそれなりに飲んでいました」

――では現在は、相当大きな方向転換をしたわけですね。

「はい。今は食生活をすごく重視しています。ジャンキーなものはほとんど食べないようにしているので、体のためになるような玄米、納豆、味噌汁をベースということです。できるだけお酒やジュース、お菓子など体に良くないものは食べません。夜更かしもしませんね。そういう努力をしないと、中高年になってからいい体になることは非常に難しいです。ですので、自分なりに徹底しています。ここまでやるのは特殊かもしれませんけど、みなさんも胃腸を労わることはぜひ心がけていただくといいと思います」

取材・文/森本雄大
写真/木村雄大