ジュニアNo.1を決める熱い戦いが繰り広げられた、「第36回日本ジュニア男子ボディビル選手権大会」(8月25日開催、品川区立総合区民会館)。同大会の70㎏超級でボディビルデビューにして初優勝の快挙を成し遂げたのが井上光陽だ。
大学までは陸上部に所属し、砲丸投げの選手として活躍。千葉県の高校記録保持者でもあり、競技の第一線に身を置いてきた。父がボディビルダーという家庭環境もあり、以前からボディメイクに興味があった彼は「大学を卒業したらボディビルをやりたいと思っていました」という言葉通り、見事にコンテスト仕様の体をつくり上げ初舞台に挑んだ。
ジュニア選手権が大会デビューという中、並みいる強敵たちを押しのけ初Vを達成。優勝インタビューで今回がデビュー戦であることを話すと、観客席からはどよめきが起こるほどの完成度であった。
底知れぬポテンシャルを見せた彼だが、才能だけで優勝に足るボディをつくりあげたわけではない。「競技を変えてから、関節ひとつひとつの動きを意識してトレーニングをするようになりました。陸上の時は全身を使って挙げるようなトレーニングをしていたんですけど、ボディビルを始めてからは体幹を締めたり、筋肉の収縮やストレッチなど細かいところを意識するようになりましたね。いろいろな情報を仕入れて試して、よりよい筋トレができるよう試行錯誤しています」と話すように、日進月歩の進化を続けた過程が実を結んだ。
ボディビルの魅力は「当日までの準備で結果がほとんど決まるところ」とのこと。やるべきことを積み上げることができる彼にとって、やりがいに満ちたチャレンジだったようだ。今大会での優勝を足掛かりに、井上はさらなる高みへと歩を進める。
「いろいろな大会で結果を残して、ゆくゆくは日本選手権に出たいです。今回も元陸上部の仲間が応援に来てくれたり、まわりがいなければ競技をやってこれないと思いますし、本当にひとりひとりのやさしさが身に沁みます。これからは少しずつ、結果で恩返ししていきたいですね」