必殺の“ストームゼロ”が炸裂するか!? 外国人トップレスラーが、岩谷麻優のIWGP女子王座に挑む【トニー・ストーム(前編)】




女子プロレス・スターダムの10月5日(土)名古屋ドルフィンズアリーナ大会で、IWGP女子選手権試合が行なわれる。現王者は、「スターダムのアイコン」と呼ばれ、プロレスラーへの道が『家出レスラー』として映画化、今年公開された岩谷麻優。第3代王者である岩谷にとって、今回が7度目の防衛戦だ。

写真提供:スターダム

【フォト】トニー・ストームの試合&会見ショット

IWGP女子王座とは、IWGPの名が示す通り、新日本プロレスが制定、管理する女子のタイトルである。初代王者がKAIRI(現WWEのカイリ・セイン)で、2代王者がメルセデス・モネ(元WWEのサーシャ・バンクス)。世界最大のプロレス団体でトップを張ってきたスーパースターを引き継ぐ形で現在王者に君臨するのが岩谷で、今回その岩谷に挑むのが、スターダム育ちでWWEからAEWへと戦場を移したトニー・ストームだ。

トニーは、2016年に20歳でスターダムに初参戦。13歳でデビューをはたしており、英国を中心に欧州で闘いながら、スターダムにやってきた。その才能は日本で開花し、17年には「シンデレラ・トーナメント」、「5★STAR GP」で優勝。春と夏の祭典を連続制覇した初めての選手となり、この記録は2024年の現在も並ばれていない。同年9月には岩谷を破り、団体の至宝ワールド・オブ・スターダム王座も奪取。同王座は岩谷への返り討ちを含む3度の防衛に成功しており、文句なしにトップ外国人レスラーへと上り詰めたのである。

写真提供:スターダム

その後はスターダムと並行しながらWWEのリングに上がるようになり(これも画期的な出来事だった)、WWE退団後はAEWに登場。22年9月にはAEW女子世界王座を奪取し、同王座に3度君臨してみせた。今年8月にベルトを失ったばかりだが、こんどは古巣をターゲットに、シングルマッチで負けたことのない岩谷の王座に挑むことになったのだ。

写真/新井宏

そのトニーが武器にしているのは、鍛え上げられた下半身から繰り出される必殺技、ストームゼロだ。昔からポピュラーなドリル・ア・ホール式のパイルドライバーではあるが、トニーの場合、得意技&必殺技に昇華させ、他と差別化できる固有名称をつけるだけの理由が十分にあると言っていい。

スターダム時代はストロングゼロと呼んでいたストームゼロ。ストロングゼロの名称は日本で飲んだ酎ハイの製品名が由来となっている。試合後にリラックスしようと飲んだところ、想像以上のおいしさで酒が進み、二日酔いに悩まされた。このときの頭痛がパイルドライバーを食らったときの衝撃を思い出させたため、ストロングゼロとなったのだ。ちょうどそのころ、トニーは「ワタシハサイキョー!」を決めゼリフにしており、“最強”と“ストロング”が重なるダブルミーニングにもなっていたのである。

(後編に続く)

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