動脈硬化予防には、ふくらはぎのストレッチ セット間に10~20秒のインターバルをとるのがポイント




近年の研究で動脈硬化の予防効果があることもわかってきたストレッチ。今回はその方法を立命館大学・家光素行教授に教えていただきました。

「第2の心臓」とも言われるふくらはぎ (Ⓒkei907_AdobeStock)

【動画】一駅あったらカーフレイズ 電車内でふくらはぎのエクササイズ

――前回は、動脈硬化予防のためのストレッチの効用についてお話を伺いました。具体的には、どのようなメニューを行なえばいいのでしょうか。

「血管を拡張させる効果を得るには、下肢を中心としたストレッチが有効です。ふくらはぎ、太もも、つま先などが主なターゲットとなります」

――なぜ下肢なのですか。

「人は重力に逆らって生きているため、自然と血液が体の下部に溜まっていってしまいます。そこで下肢に溜まった血液を心臓に押し戻すことが重要なのです。特に、ふくらはぎは筋ポンプ作用を持ち、『第二の心臓』とも呼ばれています。太もも周辺の筋肉、前脛骨筋などの血流を促すことも同様の効果が期待できると思われます。ですから下肢全体をストレッチするという認識でいいと思いますが、どれか1つに絞るのであれば、ふくらはぎが好ましいでしょう。下肢のストレッチを4週間ほど継続すると、徐々に血管の柔軟性に効果が現われるという研究結果が出ています」

――4週間で効果が見えてくるんですね。

「私がストレッチ指導をする際は、左右30秒×2セット、それを1日2回とお伝えしています。時間にすると合計で約15分ほどになるかと思います。2セット目に移る時には10秒~20秒の休息時間を設けてください。では、具体的な種目を紹介します」

(種目1)

ふくらはぎのストレッチ例。脚を前後に大きく開き、踵を付けたまま体重を前に移動していく。

(種目2)
ハムストリングスのストレッチ例。前後に脚を開き、前脚を伸ばした状態で骨盤を立てたまま、体幹を前に倒す。

(種目3)
前脛骨筋のストレッチ例。椅子に座り、反対側の手でつま先を下げていく(足関節底屈)

(種目4)
太ももの付け根にある腸腰筋のストレッチ例。脚を前後に開き、体重を前脚に乗せる。

――これらの種目を行なう際、注意することはありますか。

「次の5つのポイントを意識するといいでしょう」

①呼吸を止めない
姿勢を維持しようと思うと息を止めがちになりますが、必ず呼吸をしてください。呼吸をしないと体が力んで血圧が上がり、効果が薄くなってしまいます。

②ストレッチする部位(血管)を意識する
今どこをストレッチしているのかを認識した上で、正しい姿勢で行ないましょう。

③姿勢は 30 秒間維持
これは私たちの動脈硬化に対する研究のエビデンスに基づくものです。とはいえ30秒間ストレッチを行なうことは簡単ではありません。初心者や中高年の方は15秒~ 20秒から始めましょう。

④セット間は 10 秒~ 20 秒の休息をつくる
血流が増加するのはストレッチ後になるため、そのゴールデンタイムを確保するためにセットの間は必ず休息時間を設けてください。

⑤痛みが出たら無理をしない
筋や腱の痛みが出てきた場合は無理せずストレッチを中断してください。

(次は最終回。中高年へのアドバイスをお届けします)

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