五味原領と川中健介、金メダルにもっとも近い男たちが日本選手団に勢いをもたらすか?【IFBB世界選手権初日プレビュー】




12月17日からの3日間、東京・有明コロシアムにて開催される、IFBB女子世界選手権&男子ワールドカップ。明日の開幕に先立ち、ここでは大会初日に行なわれる競技と出場選手を紹介する。

【フォト】恐竜王国・福井を舞台にしたクラシックボディビル日本一決戦

先陣を切ってステージに立つのは、メンズフィットネスの高田巖と、アーティスティックフィットネスの美田佳穂だ。この2競技に関しては日本国内で競技者数が多くはなく、高田は今年、出場者一人で日本一という結果であった。当然それ自体は素晴らしいことではあるが、やはり勝負を制して金メダルを手にする姿を見たいところ。

今回は世界大会ということもあり、現状でエントリー数は未知ながら、過去の大会を見ても他国の出場者がステージに立つと予想される。エアロビクス、アクアビクス、ステップ、ヨガ、スイミングなど、幅広くフィットネスに長年携わってきた男が、演技力や構成力も含めて評価されるこの競技でハイパフォーマンスを見せてくれるはずだ。

美田は、もともとトランポリン選手としてオリンピックを目指していたものの、怪我により競技を断念し、フィットネスの世界で新たな道を歩んでいる若き有望株。「この競技があることによって第2のステージで輝かせてもらっています」と以前語っていたように、トランポリンでは成しえなかった世界の舞台で、アクロバティックなステージを披露する。

日本選手団としてこの日、より大きな期待を背負ってステージに立つのはクラシックボディビル勢だ。ボディビルでありながら身長に対する体重制限が設けられているため、JBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)の青田正順会長も「日本人の特長を生かして世界で戦いやすい競技」と話している。実際、昨年のIFBB世界選手権においては、五味原領と川中健介の2人がそれぞれ優勝を果たしており、今年も金メダルにもっとも近い2人と言っても過言ではない。筋量と審美性を両立させた日本勢が今回も上位に食い込む可能性は高いと言えるだろう。

彼らのほかにも、日本クラシックボディビル選手権でオーバーオール3連覇中、北海道の酪農家ビルダー・小澤亮平や、165cm以下級で4連覇(計6度の優勝)を達成した渡部工兵、180cm超の巨体とゴリゴリの身体と相反する優しい笑みで人気を集める白井寛人らにも期待したい。

また、メンズフィジーク勢も初日に登場する。
この競技においては、昨年の世界選手権で田村宜丈がマスターズクラスでオーバーオール優勝、浦川天聖(今大会には出場せず)がジュニア174cm以下級で優勝と、年齢別カテゴリーでは実績を残してきた。一方で、身長別の一般カテゴリーではやや苦戦を強いられており、田村が170cm以下級で3位に食い込んだのが最高成績であった。

そのような中で、並々ならぬ思いで臨むのは国内3連覇中の王者・伊吹主税だろう。10月のフィットネス・グランドチャンピオンシップス後には、以下のようなコメントを残している。

「(2023年は)メンズフィジークの審査基準が見直される中で、トレーニーの誰もが抱く『大きくなりたい』という気持ちを抑えながら、前年から1kg落としたところで仕上げました。でも、サイズを落として国内の大会を戦ったのに、その身体でIFBB世界選手権に出場したところ、連盟の方には『サイズを大きくしたほうがいい』と言われました。なので、今年の日本の基準も少しサイズアップしていくのかなと。実際に地方大会とかを見ていてもそういう傾向を感じていたので、これは『自分の好きなフィジークで戦って大丈夫』だと思い、トレーニングを全開放してサイズアップに取り組んできました」

昨年は世界大会6位と評価が伸びきらなかったが、今年は世界基準を見据えて仕上げた身体をステージで披露してくれるのは間違いない。念願のメダルを持ち帰れるか。

さらに、より筋量が求められるメンズフィジークとして盛り上がりを見せるマスキュラーフィジークには岩田卓磨と直野賀優の2人が参戦。特に直野は、もともとメンズフィジークで実績を残してきたが、評価基準見直しを受けて、バルキーなボディを生かすべくカテゴリー転向を決断。それが功を奏し、マスキュラーフィジーク日本一を成し遂げた。「やっと見つけた居場所」で、どれだけ世界の中で評価されるのか楽しみにしたい。

初日出場選手一覧(予定)

【アーティスティックフィットネス】
美田佳穂

【メンズフィットネス】
高田巖

【メンズフィットモデル】
中村宗人
高田巖

【クラシックボディビル】
石坂恵一
市川悠道
井上貴文
岸田勇輝
小澤亮平
白井寛人
豊田純也
濱田直人
向井基
宗野広大
渡部工兵
井上裕章
川辺仁
神田優作
土金正巳
征矢洋文
五味原領
川中健介
本間大地
横關裕二

【メンズフィジーク】
穴見一佐
石山檀
伊吹主税
植田信孝
上中⼀司
上松康一郎
甲藤壽一
加藤昌平
木村拳太
小竹弘宣
須永紳也
田村宜丈
手島祐
中村宗人
玻座真陸
原田吉史
八木佑樹

【マスキュラーフィジーク】
岩田卓磨
直野賀優

※一覧は事前情報のためエントリー状況により変更の場合あり

文・写真/木村雄大