筋肉一つ一つの見せ方が美しいフリーポーズ~須山翔太郎(後編)【筋肉マニアのビルダー解体筋書】




YouTubeに投稿しているボディビル解説動画が話題の筋肉マニアが、毎週一人のボディビルダーをピックアップして紹介していく連載「解体筋書」。今回は、「カリスマ」須山翔太郎選手の後編です。
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【フォト&ムービー】須山翔太郎のステージショット集

2016年のフリーポーズは感動的

須山さんの弱点は、バックポーズをとったときのハムストリングスと臀部です。ハムストリングスの厚み自体はかなりあるのですが、カットの明確さは弱点になっています。臀部についてはサイズそのものが他の部位に比べると少し見劣りしてしまっているかなと思います。

僕が思う、須山さんが筋肉の丸みにおいて最もすごかったのは、2012年の日本クラス別ボディビル選手権の80kg以下級で優勝された時です。どの筋肉もありえないぐらい丸々とされていました。それこそ、今の日本選手権に出たら優勝できるんじゃないかというほどの筋肉のサイズとクオリティーをされていました。バックポーズの時の上腕や肩のサイズ、背中の凹凸感があることで、下半身の弱点もそんなに目立たないほどにカバーしていた印象があります。

身体はもちろん素晴らしいですが、フリーポーズも非常に魅力的な選手です。日本選手権においては、須江正尋選手、山田幸浩選手などがフリーポーズの上手な選手というイメージを皆さん持たれるかなと思いますが、須山さんもその一人です。ポージングの流れや音ハメが完璧に近いこと、一つ一つのポーズが非常に高クオリティーであることなどがフリーの完成度を高めている要因だと思います。違和感のあるポージングが一つもなくて、皆さんが見たいと思うようなポーズを「ここぞ」というときに見せてくれる。観客が見たいものをしっかりと理解されてる感じが見ていて気持ちいいです。

昔の須山さんはかなりパワフルなポージングをされることが多くて、特に2010年のフリーポーズは、須山さんが自分の身体を操っているのではなく、“筋肉が須山翔太郎という男を操っているんじゃないか”というぐらい、本当にモコモコとした動きをされていました。僕はこの時の須山さんのフリーポーズが大好きです。

もう一つ、超カッコいいフリーポーズがあります。それが2016年の日本選手権です。須山さんといえば、2017年の和風なフリーポーズが有名だと思うのですが、その一つ前の年の機械的な音源を使われているフリーポーズ。この時の須山さんの音ハメ力や筋肉一つ一つの見せ方に、僕はただただ感動しました。今まで見たフリーポーズの中で一番好きだと断言できるぐらい、本当にこのフリーポーズはお気に入りですね。

音ハメや筋肉の迫力、見せ方はもちろんカッコいいのですが、ポーズを決める時とそうでない時の差というのが須山さんはすごくはっきりしてるんですよね。このポーズを決めた時には止める、それ以外の時は滑らかに流すというメリハリが、須山さんのフリーポーズをより芸術的に見せている一つの理由なんじゃないかなと思います。サイドバックなどの規定ポーズ以外のポーズに関しても、自分の形をしっかりと持たれていて、その形というのが観客の皆さんがパッと見た時に「うわ、かっこいい!」と思うような形にしっかりとなっているんですよね。

フリーポーズの上手さと迫力を兼ね備えていたメリハリのある身体。そして、人間性においても本当に素晴らしくて、そういう部分も含めて僕は憧れの存在です。

今回は須山翔太郎選手の紹介をさせていただきました。昨年の日本選手権は11位という結果でしたが、ここからの復活劇を僕はめちゃくちゃ期待しています。そして、もちろんそれを期待してはいるのですが、一ファンとして須山さんが楽しんでステージに立っている姿を見るのが一番の望みです。来年の日本選手権も楽しみにしたいなと思います。お読みいただき、ありがとうございました。

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