CGのような大腿四頭筋を持つ男~刈川啓志郎(前編)【筋肉マニアのビルダー解体筋書】




YouTubeに投稿しているボディビル解説動画が話題の筋肉マニアが、毎週一人のボディビルダーをピックアップして紹介していく連載「解体筋書」。今回は、“昇龍(のぼりりゅう)”の異名を持つ刈川啓志郎選手です。

【フォト&ムービー】刈川啓志郎のステージショット集

凶悪な四肢と極上のプレアクション

刈川選手の一番の強みは、言わずもがな大腿四頭筋です。サイズは勿論のこと、カットの深さにおいては間違いなく歴代トップだと言えるほど、とてつもないものを持っています。ペンを挟めそうなくらいにカットが深く、あるYouTubeの動画では「脚に刈川って書いてある」というコメントが付くほど強烈なインパクトを誇っています。縫工筋までバッチリ見えるほどマッスルコントロールが上手いこともカットが深い要因だと思います。

脚だけでなく、上腕も素晴らしい選手です。特に三頭筋が強みで、起始部から停止部まできっちり丸みのある上腕をされているんですよね。形やサイズ感でいうと、横川尚隆選手を彷彿とさせます。長身で手足が長く、ウエストが細い、いわゆるプロポーション型にも関わらず、四肢が特別に強いという珍しいタイプの選手です。

反対に、体幹部は弱点になっていると思います。具体的に言うと、胸の厚みと背中の凹凸感ですね。大胸筋は、特に内側の厚みが弱点になっていますが、ある程度ポージングでカバーできているのではないかと思います。ただ、背中の凹凸感に関しては、フロントがかなり強い分、見劣りしてしまう印象があります。広背筋の厚みが少ないことや背中全体の質感がマットに見えてしまっていることが要因だと思います。

また、大腿四頭筋のカットが物凄いことに起因して、下半身の質感は非常に良く見える一方で、上半身がマットに見えてしまうことも刈川選手の弱点かもしれません。しかし、ジュラシックカップの時の刈川選手は、鈴木雅さんのアドバイスもあり、上半身がありえないぐらいパンパンに張っていて、日本選手権とは別人に見えるほどコンディションが良くなっていました。このように、調整面での安定感が出れば、改善されるのではないかと思います。

そして、刈川選手の強みであり、最大の魅力がステージングです。ボディビルにおけるステージングとは、ステージ上での雰囲気作りやアピール方法のことです。刈川選手は自信たっぷりにポージングをされる上に、プレアクションが非常にカッコいい選手なんです。例えば、フロントダブルバイセップスの前に腕を片方ずつ縮めてから一気に広げてポーズを取ったり、サイドトライセップスを取った後に1回ターンを入れてから次のポーズに移ったりと、他の選手があまりしないプレアクションで観る人を魅了するんです。

淡々と規定ポーズを取るのではなく、そこに一味加えることで、より審査員や観客の方々の目を引くステージングになっています。審査員によっては、長すぎるプレアクションはあまり好ましくないと捉える方もいらっしゃると思いますが、刈川選手の場合はちょうどいい尺でありながらカッコいい動作になっているので、大きな魅力になっているのではないかと思います。

(後編に続く)

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