YouTubeに投稿しているボディビル解説動画が話題の筋肉マニアが、毎週一人のボディビルダーをピックアップして紹介していく連載「解体筋書」。今回は、“昇龍(のぼりりゅう”の異名を持つ刈川啓志郎選手の後編です。
★前編はこちらから
【ムービー】これぞ“昇竜”、刈川啓志郎のジュラシックカップ入場シーン
涙脆さも人気を集めるポイント
前編で規定ポーズ中のプレアクションについてお話ししましたが、フリーポーズも格別に上手い選手です。
迫力重視の曲を選ばれることが多いですが、その中で自分のプロポーションを生かしたクラシカルなポーズを取り入れているのが特徴です。上腕が太くて長いので、特に体を広げるポーズの見映えが極めて良いです。クラシカルなポーズだけではなく、モストマスキュラーなどの迫力あるポーズも入れてくるので、飽きさせないフリーポーズを構成がするのがとても上手な印象があります。
構成だけではなく、ポーズ一つ一つのクオリティーも非常に高いです。例えば、サイドバックポーズ。フリーの中で取り入れる選手が非常に多い有名なポーズですが、実はかなり難易度が高いんです。腕や体幹部の角度、骨盤の位置、重心の取り方、背中の広げ方など、意識するポイントがいくつもあり、理想的な形になっている選手はそう多くないと思います。刈川選手の場合は、骨盤をしっかりと後傾させた状態でポーズを取るのですが、この腰の切り方が本当に上手で、ここまで綺麗に映えるサイドバックを取れる選手は中々いないのではないかと思います。
最後に、刈川選手のキャラクター性についてお話しします。刈川選手が昨年、絶大な人気を集めたのは、キャラがしっかりと確立されていたことも大きな要因だと思います。会場を盛り上げるサービス精神旺盛な性格は勿論のこと、髪型も特徴的で、長髪を後ろで括ってオールバックにしているのが、大和魂というか、和の雰囲気が漂っていて、個人的に好みです。
また、これだけ凶悪な身体をしているにも関わらず、すごく涙脆いところも刈川選手ならではだと思います。昨年の日本選手権では3位になったことで悔し涙を流されていましたが、逆にジュラシックカップで優勝された時には嬉し涙を流されていて…。身体に似合わないこの涙脆く、情に熱いところも刈川選手の大きな魅力だと僕は感じています。
最近はYouTubeチャンネルも開設されて、普段は週6回彼女に付き合ってもらってトレーニングしているみたいですね。ジュラシックカップでの優勝インタビューでも彼女に対する感謝の言葉を涙ながらに述べられていて、刈川選手の人間性がストレートに現れている印象的なシーンだと思いました。
今回は刈川啓志郎選手を紹介させていただきました。昨年、日本選手権初出場で表彰台(3位)に登りましたが、これは1997年の田代誠選手以来、27年ぶりの快挙だったとのことです。物凄い怪物が出てきたなと、改めて感じます。日本ボディビル界にその名を轟かせた刈川選手の今後に要注目ですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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