女子プロレス団体「シードリング」のプロテスト 合格者1名が3月のデビューを目指す




女子プロレス団体SEAdLINNNG(シードリング)が1月30日(木)、神奈川・川崎のシードリング道場にて「第1回プロテスト」を行なった。昨年8月に同団体のトップレスラーだった中島安里紗が引退、11月からマネジャーとして引き続き団体の運営に携わることになった。中島がスタッフに転身して初めてのプロテストにもなる今回は、コーチも兼任する彼女の教え子とも言える2名が参加した。

左から代表の南月たいよう、今回のプロレストに挑んだ「ゆき」、中島安里紗

【フォト】見事合格はなるか? リアルなプロテストの様子

プロテストと言っても女子プロレス界全体で合否のハッキリした基準があるわけではなく、団体の判断にゆだねられる。とはいえ、基礎体力や受け身は基本中の基本で、ここを通過してこそプロレスラーとしてリングに立てる段階に進むことができるのだ。シードリングでのテストメニューがすべてではないとしても、これからプロレスラーを目指す女性には大いに参考になると思われる。

「基礎体力(テスト)はできて当たり前。シードリングのリングに立つ覚悟と気持ちを見せてもらいたい」と、南月たいよう代表。中島マネジャーも審査員として見守る中、練習生2名が次々とメニューをこなしていく。

スクワット、腕立て伏せ、腹筋、背筋、倒立、ブリッジ、前転、後転をさまざまなバリエーションでこなし、前、後ろ、斜めなどの受け身をあらゆる角度で。さらにロープワークからロープワークからの受け身という流れを行ない、先輩若手レスラー2名を相手に2分ずつのスパーリングを披露した。

一通りの項目を終えると、受験した練習生が順番にあいさつを行なった。

「本日は、ありがとうございました。今日初めてスパーリングで一本を獲れたことが、自分の中ですごく成長でした。ありがとうございました。これからも一分一秒、精進し続ける人になります。よろしくお願いします」

「本日は、ありがとうございました。最後自分が決めきれなかったのは、本当に悔しいです。でも、負けたくないっていう気持ちは誰にも負けないと思っています。今日はありがとうございました」

不合格者を慰める中島と奈月

その後、審査員が別室で話し合い、戻ってくると審査発表。2人を前に、まずは1名の不合格を告げた。

「結果、不合格です。プロテスト受かるってことは、これから試合をしなきゃいけない。そのレベルにまだ達してないから。(テストに)出るか出ないか自分で決めさせたけど、(ヒザを)痛めてるなか、ここまでできたのにはすごく気迫が感じられたし、ちゃんと伝えられるなと思いました。だけど、デビューしたら試合をする対戦相手だけではなくお客さんとも闘っていかないといけない。

まだまだ自分自身との闘いになっていて、相手との闘いになっていないから。でも、今日やったことを忘れずに。もうオマエ逃げんなよ。生きてたらいろいろあるかもしれないけどさ、こんなにできるんだから、もっとリングに向き合って、今日の悔しさとかをしっかり自分で受け止めて。また追試してもらいます」(南月)

「南月さんが言ったことがすべてだと思います。いつも言われてると思うけど、できるかどうかじゃなくて、やるかやらないかだから。今日、やる選択をしたのはすごい成長だと思うし、そういう姿を初めて見られたからよかったと思いました。自分でもわかってるけど思うけど、まだまだ全然できてないし、それって日頃の積み重ねがスカスカになってるから、この結果なわけでしょ。しっかり積み重ねていけるように、日々がんばってください」(中島)

そして、もうひとりの練習生は…。

「△(三角)かな?基礎体力については、しっかりついてる。だけど、ちょっといま追試していいですか?できるんだけど、後半になってやっと感情が出たかなって。気迫とか気持ちというのがここで伝わってなければ、お客さんに伝えられないから」

南月代表の提案により、急きょその場での追試がおこなわれることに。追試は、先輩レスラーの花穂ノ利、光芽ミリア、そして元レスラー、南月代表とのスパーリングだ。その後、南月代表があらためてこの練習生に合否を告げた。

「最初から自分で(気持ちを)出せるように。伝えなきゃ。いまの気持ちを忘れずに、これからも努力して“魂の女子プロレス”ができるように、これからもがんばりましょう。合格です!」

これを聞いた練習生は「ありがとうございます!」。そして、続く中島の一言には涙が溢れ出した。

「私はもう、最初から合格だったんですけど(笑&ゆき涙)。当たり前だけど基礎体力もできてる。そこも完璧で受け身もしっかりしてたし、なにより絶対に受かるんだという気持ちが最初から見えてたので、そういうところはいいかなと。強い思いでやってるのはすごくいいなと思いました。

でも、最後スパーリングで2人とやって、最初一本獲れなかったところで心が折れそうになってる瞬間が見えてしまったのがもったいなかったなと。それでも、最後そこをしっかり(もうひとりの練習生から)一本取り返していたのでいいと思います。でもここからだと思うので、その強い気持ちをしっかり持って、心折れずにがんばっていってください」

団体スタッフからは「シードリングを継いでほしい。シードリングの選手に早くなってほしい」と声をかけられた。合格の練習生は「ゆき」、鳥取県出身の27歳とのこと。リングネームは後日発表予定で、3・20カルッツかわさき大会でのデビューを目指す。南月代表は、最後の最後でもうひと踏ん張りできるかどうかの気持ちを見たかったのだろう。ここで闘えてこそプロになれる、という考えだ 。

「今日はまだほんの一歩ですけど、こうして最後までやり遂げられたので、みなさんがおっしゃるようにまだまだですし、先輩たちにもスパーリングで一本も獲ってない。だからこの倍、さらに倍努力して、気持ちを絶やさずに自分のなかでつねに勝っていって、シードリングらしさを出せる強い選手になります!これからもよろしくお願いいたします!」と、最後は合格のゆきがあいさつ。南月たいよう(夏樹☆たいよう)、中島安里紗の魂を受け継ぐレスラーの誕生を待ちたい。

▼シードリング5月までの興行予定
2月12日(水)東京・新宿FACE(18:30)
3月20日(木=祝)神奈川・カルッツかわさき(14:00)
4月15日(火)東京・新木場1st RING(18・45)
5月1日(木)東京・後楽園ホール(18:30)
5月30日(金)東京・新木場1st RING(18:45)

★8月22日に東京・後楽園ホール(18:30)で「SEAdLINNNG10周年大会」を開催!

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