市民に着実に根づきつつあるDoスポーツ
「見るスポーツ」だけでなく「するスポーツ」も着実にジャカルタ市民に根づきつつある。
インドネシアスポーツのエピセンター(震源地)であるゲロラ・ブン・カルノ・スタジアム。サッカーワールドカップ予選のインドネシア・日本戦が行なわれたこのスタジアムを中心に広がる公園はアジア大会のメイン会場にもなった。
夜になると、ここには涼を求めて市民たちが集まる。ナイター照明に照らされたソフトボール場の周りでドリンク片手に語らっている若者たちもいれば、スタジアムの周囲をジョギングする人もいる。日本でもマラソンブームは止むことを知らないが、ここゲロラ・ブン・カルノ・スタジアムは言わば「インドネシアの皇居」。休日ともなれば、市民大集合とばかりにランナーの群れが巨大なスタジアムの外周を左回りに走っている。
そして、公園入口からスタジアムに通じる幅の広い道は即席のフィットネスクラブとなっている。あちらこちらでヨガやエアロビクス、サーキットトレーニングが行なわれているが、そこには必ずインストラクターがついている。
現在、スポーツインストラクターはそれなりに稼げることができる仕事のようで、彼らはフリーランスとして、公園当局から許可を取り、客を集めて即席のフィットネスクラブを運営しているのだ。この公園が位置するのは新市街中心のオフィス街。公園内にはロッカーもあるので、勤め人は仕事の後、ここで一汗流して帰宅するというわけだ。退勤時間をずらせば、電車のラッシュや道路の渋滞も避けることができるので一石二鳥だ。
急成長するジャカルタの中心で働くニューリッチ相手のインストラクターは集客に成功すれば、日本のサラリーマンも驚くほどの収入を手にすることができるという。
また、休日となれば、主婦と思わしき女性相手のバランスボールを使ったエクササイズや子ども相手のアイスホッケーの練習も行なわれていた。聞けば、氷を使わない基礎練習はここで行なうのだそうだ。豊かになりつつあるインドネシアでは、セレブの間で子どもの習い事は必須となりつつある。スポーツで言えば、アイスホッケーや野球はアメリカ生まれという点でそれそのものがステイタス化している。当然、これらのスポーツの子どもの指導は「おいしい」ビジネスになる(写真3)。
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