YouTubeに投稿しているボディビル解説動画が話題の筋肉マニアが、毎週一人のボディビルダーをピックアップして紹介していく連載「解体筋書」。今回は、木澤大祐選手の後編です。
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【ムービー】ジュラシック・ラストステージ。世界選手権フリーポーズ
まるで漫画のような有終の美
絶対王者不在や新世代の猛攻によって、昨年の日本選手権は史上最も予想がつかない大会と言われていました。ピックアップ審査が始まり、有力選手が続々と登場する中、最後の大会に臨むジュラシックは過去最高の仕上がりと前年以上のデカさを備えて現れたのです。その気迫たるや、まさに恐竜の如し。ファーストコールでは堂々のセンターを維持し、圧巻の迫力で会場を大いに沸かせてくれました。
中でも、盛り上がったのが木澤選手のバックポーズです。前編でも述べた通り、長年のトレーニングによって刻まれた細かい背中のカットに、課題であった広がりが加わることで、さらに迫力を増していたのです。他2人の弱点が背中だったこともあって木澤選手はバックポーズでもリードしているように思いました。
そして、運命のポーズダウン(順位発表)。様々な波乱が巻き起こる中で、木澤選手は最後までステージに残り続けました。結果は、優勝!20年越しの悲願達成となりました。木澤さんファンの方もそうでない方も、あの瞬間は全員が彼を祝福したことでしょう。木澤選手は第70代Mr.日本の称号を得たと同時に、2つの記録を打ち立てました。一つは、20回という初優勝までの出場回数。諦めずに挑戦し続けた木澤選手だからこそ成し得た記録です。もう一つは、49歳という史上最年長での優勝。32年の競技生活の中で、幾度となく試練を経験しながらも、歳を重ねるごとに進化する木澤選手の姿は、多くの人に多大な影響を与えたのではないかと思います。
大会終了後、引退を宣言していた木澤選手ですが、その勢いのままにIFBB男子ワールドカップへの出場を表明されました。結果は、こちらもなんと優勝!正確には、当日の優勝者がドーピング検査を拒否したことで、繰り上げ優勝という形でしたが、世界王者という結果には変わりません。ラストイヤーにして、過去最高の成績を残された木澤選手には、本当に脱帽です。
木澤選手は今後の目標として「60歳まで今の身体を維持する」とご自身のYouTubeで話されていました。いつか現役選手が驚愕するような肉体をステージで披露してほしいなと切に思います。個人的には、10年ぶりの日本選手権で若手を押し除けてのファイナリスト上位入りを期待しています(笑)。レジェンドをステージで見れなくなってしまうのは非常に悲しいですが、ジュラシック木澤さんの今後にも要注目ですね。
次回は、「球体のような筋肉を持つボディビル界きっての愛されキャラ」について語らせていただきます。お楽しみに!
▶次ページ:木澤大祐選手の世界選手権ステージフォト&ムービー
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