YouTubeに投稿しているボディビル解説動画が話題の筋肉マニアが、毎週一人のボディビルダーをピックアップして紹介していく連載「解体筋書」。今回は、“火の玉スピリッツ”加藤直之選手です。
【フォト&ムービー】加藤直之選手の日本選手権2024ステージショット集
球体のような筋肉が作り出す「加藤さんマスキュラー」
加藤選手は2013年に日本選手権ファイナリスト入りを果たして以降、出場年においては一度もTOP12から外れたことのないレジェンドビルダーの1人です。近年は、TOP6の常連的存在となっています。年齢は現在44歳と、ベテランの領域に入っていますが、筋肉の張りや丸みでは若手にも全く引けを取りません。
全身の丸みにおいて、加藤選手の右に出るものはいないのではないかというほど、強力なアイデンティティとなっていますが、中でも背中は一級品です。バックダブルバイセップスをとった時の凹凸感も素晴らしいですが、バックラットスプレッドをとったときの広がりは、“伝説の男”須江正尋選手にも劣らないレベルです。下半身についても大腿直筋、中間広筋の発達が凄まじく、フロントポーズの脚の真ん中あたりの張り出しは目を見張るものがあります。
加藤選手は、BIG3を鍛えるトレーニング(ベンチプレス、スクワット、デッドリフト)に強いこだわりを持っています。「より重いものを挙げたい」というパワーリフター的思考で長年培われた筋肉は、丸みを帯びただけでなく、コアの分厚さにも大きな影響をもたらしました。そのため、加藤選手は日本でも随一の厚みを備えています。
限りなく弱点の少ない身体が魅力の加藤選手ですが、2024年の日本選手権では脚の内側である内転筋周りが、例年に比べると少し弱点になっていたように感じました。それでも、絞り、丸み、厚み、バランス、フリーポーズ等どの面を見ても減点対象は少なく、総合力は非常に高い選手と言えます。
フリーポーズは、指先や目線まで意識された芸術性の高いものを披露されることもあれば、The ボディビルとも言える迫力満点の演技を見せてくれることもあり、バリエーションが豊富で見応えがあります。加藤選手はどのフリーでも、マスキュラーポーズを使われることが多いのですが、これが独特なんです。片腕を背面に回し、もう片方は前に出して手首を下に捻ることで、加藤選手の強みである筋肉の丸みが遺憾無く発揮されています。僕は、このポーズを勝手に「加藤さんマスキュラー」と呼んでいます。
後編では、加藤選手の人柄や復活劇についてお話ししていきます。お楽しみに!
(後編に続く)
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