YouTubeに投稿しているボディビル解説動画が話題の筋肉マニアが、毎週一人のボディビルダーをピックアップして紹介していく連載「解体筋書」。今回は、“伝説の男”須江正尋選手です。
【フォト&ムービー】法政大出身、須江正尋選手の全日本学生2024ゲストポーズ
不死鳥の如き進化を続けるレジェンド
須江選手の特徴は、日本最強の背中です。広がり、厚みともに異常なほど発達しており、広背筋がデカすぎて垂れ下がっていることは有名な話です。広背筋下部の広がりもとんでもないため、逆三角形を通り越して半球状の背中になっています。
また、上腕と三角筋も強みの選手です。フロントポーズの上半身は日本トップクラスに強く、特にフロントラットスプレッドは、隙間のない背中の広がり、パンパンに詰まった上腕、ガンダムのように張り出した肩が合わさって、人間とは思えない迫力をしています。
反対に、下半身は弱点となっており、デカすぎる上半身に比べると、サイズは見劣りしてしまう印象があります。ただ、年齢に反比例して下半身のサイズやカットは年々改善されてきており、58歳(2025年3月現在)になってもなお進化し続ける姿はまさに不死鳥と言えます。
大ベテランとなった現在も第一線で活躍されている須江選手ですが、その歴はなんと39年にもなります。大学1年生で大会デビューされた須江選手は、1988年・1989年の全日本学生選手権で2連覇を果たします。1995年の日本選手権では、日本3位という超好成績を残し、その象徴的な背中から、若くして“伝説”と呼ばれるようになりました。しかし、若き”伝説”は結婚と職場の異動を機に、その年以降ステージから姿を消すことになります。
そして、月日は流れ2000年代初頭。長きに渡り絶対王者として君臨していた小沼敏雄選手がトップ戦線から退き、後続である田代誠選手や谷野義弘選手が新時代を築いていました。そんな中、2002年の日本選手権。出場選手名簿にはなんと「須江正尋」の名前が。彼は、妻の一言で復帰を決意し、7年ぶりにステージにカムバックしたのです。全てを圧倒する巨大な広背筋は健在で、筋肉の張りや上半身のデカさは復帰戦とは思えぬ迫力でした。結果は、見事5位入賞。“伝説”の復活に会場は大いに湧いたことでしょう。
須江選手は、デビューから40年近く経った今でも絶大な人気を誇っており、中高年の方は勿論、若者からの支持も厚いです。この人気には、象徴的な背中に加えて、情熱的なステージングとフリーポーズが大きく関係しています。
後編では、須江選手最大の魅力であるフリーポーズについて迫っていきます。お楽しみに!
(後編に続く)
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