普段は消防士として働く原田吉史。ひとたび舞台に上がれば、質実剛健なボディでトップ戦線を争うフィジーカーに変身する。
もともとベンチプレスが好きでジムに入会したところ、肉体美が目に留まりフィジークの世界へ誘いを受けた。それからは全身を鍛えるボディメイクの楽しさに目覚め、よりフィットネスが日常になっていった。
2022年にはフィットネス競技の国内身長別決戦「オールジャパン・フィットネス・チャンピオンシップス」で2位、2023年には6位と悔しさを噛みしめるも、2024年になると2位へと再浮上した(いずれもメンズフィジーク180cm以下級)。
コツコツ積み上げた努力が実を結び、迎えたIFBB男子ワールドカップの大舞台(2024年12月)。同年のオールジャパン選手権では敗れた穴見一佐を下してメンズフィジーク179cm以下級の頂点に立つと、階級の垣根を越えたオーバーオール優勝も獲得する快挙を達成した。
「本当に応援の方にたくさん来ていただいて、大会も長丁場の中最後まで残ってくださりました。国際大会は初めてだったんですけど、応援のおかげでホームのような感覚でステージに立てました」
オールジャパン選手権からワールドカップまでの間は、少し炭水化物を多めに摂り、なるべくコンディションを落とさないように工夫。増量は1~2kgに留めつつトレーニング強度を確保して調整したと振り返る。大会間際では最後の絞りを行ない、引き締まったボディで世界の猛者たちとの戦いに臨んだ形だ。
支えてくれる人々への感謝、そしてトレーニング愛を胸に日々の努力を積み重ね、世界戦という最高の舞台での勲章を手にした原田。今後もさらなる高みを目指して挑戦を続けていく。
「まずはオールジャパン選手権で優勝することですね。今回はたまたま勝てましたけど、実力的にはまだまだだと思っています。(国内無差別級3連覇の)伊吹主税さんをはじめ、尊敬するフィジーカーのみなさんに挑む気持ちで戦っていこうと思います」