タンパク質をどんな食材から摂るか。トレーニーにとっては日常的な課題です。パーソナルトレーナーで管理栄養士の資格も持つ山田賢児さんの回答は――。

ボディメイクをされている方は、タンパク質を何から摂るかということを普段から考えていると思います。
とくに動物の肉から摂るか、魚から摂るかは重要な選択になると思いますが、私は両方から摂るのがいいと考えます。さらに卵や乳製品、大豆などの植物性タンパク質も含め、さまざまな食材からバランスよく摂取するのが最適でしょう。
そもそも「アミノ酸スコア100」(必須アミノ酸がすべて含まれている)の良質なタンパク質であれば、人体を構成する材料としては十分。その上で、動物の肉には鉄や亜鉛などのミネラルが含まれますし、魚にはDHAやEPAなどの良質なオイルが含まれ、抗炎症作用が期待できるという利点があります。
卵はビタミンやミネラルを多く含み、なおかつ消化も早いという特性があります。大豆は食物繊維やイソフラボンが豊富で、腸内環境を整える働きがあります。
このように同じタンパク質でもそれぞれ特徴があるので、トータルの栄養価という観点からも、どれかひとつに偏らず複数の食材を活用したほうが長期的なメリットは大きいと思います。
動物の肉には豚肉、鶏肉、牛肉がありますが、どれも良質なタンパク質です。その中でも豚肉にはビタミンB群が多いという特徴があります。
ただ、いずれも部位によっては脂質を多く含むことがあるため、ダイエットをしている人などは注意が必要です。赤身と脂身が半々になっているような肉は美味しいですが、そのぶん脂質の量が多くなります。また、ベーコンのような加工肉も脂質が多くなりがちです。たとえば、目的がダイエットで、余分な脂質を摂りたくないという人は、鶏のムネ肉やササミ肉、淡白な白身魚などをチョイスするといいでしょう。
つまり動物の種類というよりも、目的に合わせて部位を選ぶことのほうが重要だと思います。
そのようにさまざまなタンパク源を選ぶと食事の飽きを防ぐこともできます。
フィットネス界では「鶏ムネ肉」を礼賛・推奨する声が非常に強いですが、それも脂質の少なさが大きな要因だと思われます。ただ、筋肉をつくっていく段階では必ずしもそこにこだわりすぎる必要はありません。
もちろん筋肉を大きくしたいという目的があり、そのために必要なタンパク質を肉や魚だけで摂りきれない場合は、補助的にプロテインなどを活用することも大切だと思います。