米? パン? 麺? 主食にする炭水化物を選ぶ時に考えておきたいこと【管理栄養士に聞く】




三大栄養素のひとつである炭水化物。「主食」と言われるほど重要なこの栄養素には、主に米・パン・麵と3つの食材があります。みなさんは、どれをどのように選んでいるでしょうか。管理栄養士でパーソナルトレーナーでもある山田賢児さんの考え方を聞いてみました。

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重要なエネルギー源である炭水化物は「米」「パン」「麺」が主な選択肢となります。

何を選ぶかは目的によって変わる場合もありますが、好き嫌いを抜きにして考えた場合、私はパンや麺よりも米を推奨しています。

なぜか。米は穀物そのものの形を保っているからです。

一方、パンは小麦をパウダー状にしたものをバターや油と一緒に練り込んで美味しくするのが通常です。その過程で小麦の原型はなくなり、同時にどうしても脂質の量が増えていきます。

加工していない、もしくは加工を極力抑えた食材を「ホールフード」と言いますが、ありのままの状態の食材に最大の生命力やエネルギーが宿ると私は考えています。その点において、米はパンよりも優れていると思うのです。麵も小麦粉を固めてつくられるので、パンと同様です。

パンや麺は一度粉末になっているので消化・吸収は早いかもしれませんが、そのぶん血糖値が上がりやすいという側面があります。また、世界的に見ると小麦にアレルギーがある人は、割合的に多いので、その点でも多少の注意が必要でしょう。

スポーツ選手が即効的なエネルギーを求める場合にパンや麵を活用するのはいいと思います。私も長距離走の現役時代、高橋尚子さんが試合前日にパスタを食べると言っていたのを聞いて同じようにしていたことがありました。しかし、長期的な視点で見た場合は、やはり米を主食にしていくのがいいのではないかと私自身は考えています(いろいろな意見があるとは思いますが)。

米を選ぶもうひとつのメリットは、基本的におかずが必要になるということです。もちろん白米だけでも美味しいのですが、それだけでは味気ないので主菜・副菜を一緒に食べるのが普通です。その中から重要なタンパク質や脂質、ビタミンやミネラルといった栄養素を摂ることができます。

パンにも惣菜が挟んであるものがありますが、白米+おかずに比べるとトータルでの脂質が多くなりがちです。また、パスタやうどんにもおかずと呼べる食材が乗ることがありますが、一般的に十分な量ではない場合が多く、どうしても炭水化物中心の食事になってしまいます。逆に言うと、炭水化物のみで立派な料理に見えてしまうことが麺類の有利な点と言えます。時間がない時はそれで済ませるのもアリですが、それで食事を完結することに慣れてしまうのは危険だと思います。

この点からも、総合的な栄養価を考えると、米中心の食事に軍配が上がるのではないでしょうか。ただ、白米も加工された食品ではあります。おおもとの玄米の時と比べると食物繊維などが減ってしまっているので、可能であれば玄米を混ぜて炊いたほうがいいと思います。

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