1日3食摂るのが難しく、とくに空腹感もありません 食事は1~2食でもいいですか?【管理栄養士が回答】




食事は1日3回摂るべき。欠食は健康によくない。そんな話をよく聞きますが、本当でしょうか。世の中にはそんな常識にとらわれず、健康的に生きている人もいます。管理栄養士の山田賢児さんの考えを聞いてみました。

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現代は「食事は1日3回」という考えが社会に定着しています。

このスタイルが広く浸透した理由のひとつには、3食に分けることで1日に必要な栄養価を摂りやすいということがあるでしょう。朝起きてエネルギーを補給し、仕事をして昼ごはんを食べる。さらにもう一仕事するとおなかがすくので夕ごはんを食べて寝る。このような生活のリズムを考えると、1日3食は理にかなっていると思います。

管理栄養士の教科書でも1日3食は大前提。「欠食はよくない」という教えを徹底的に学びました。

実際、3食分の栄養を2食で補おうとすると、1食の量を増やすしかありません。そうなると、多くの人は一般的に1日に必要とされる十分な栄養を摂りきれないのではないでしょうか。どうしても全体として栄養素が不足してしまい、バランスが崩れる可能性も高いと思います。

ただ、現代社会は昔と違って、人々の活動量が減っているという現実があります。テレワークで外出する機会も少なくなり、エネルギー消費が極端に減っている人もいるでしょう。そのように 生活活動強度が低い人の場合、エネルギーに関しては2食で賄えるかもしれません。また、食事をすると眠くなって困るという人もいます。ということで管理栄養士の世界では1日3食が正解なのですが、人によっては無理に3食にこだわることもないでしょう。

世の中には1日2食どころか、1食で過ごしている人もいます。それで長期間にわたって健康に元気よく過ごしているのであれば、それは間違いとは言えないかもしれません。芸能人でも1食を公言している人がいますし、体操のオリンピック金メダリストである内村航平さんも現役時代に1食で過ごしていた時期があると語っています。一般人よりも明らかにエネルギー消費が激しい一流アスリートにもそんな人がいるのは驚きです。

人の体は与えられた環境に適応するものです。食事においても同様で、摂取カロリーが低くても、やがてその中で最大限の力が発揮できるように変化していくのかもしれません。1日3食というのも人間が決めた常識に過ぎないので、生物としての絶対的なルールではないと言えるでしょう。

ただ、やはり気になるのは栄養価です。エネルギーは満たされても三大栄養素(炭水化物・タンパク質・脂質)のバランスが崩れたり、ビタミン・ミネラルが不足したりすると、いつか健康面での悪影響が起こる可能性もあります。ですから1日3食を摂らないとしても、そのぶん食材には気を配り、なるべく多くの栄養素を補給するように心がけたほうがいいと思います。

逆に言えば、1日3食摂っている人であっても、バランスの悪い内容である場合、栄養失調である場合も考えられます。

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