朝食は1日のスタートを切るために重要な栄養摂取の機会ですが、ダイエットにおいては、あえて朝食を抜くことで効果を高める手法があります。パーソナルトレーナーで管理栄養士でもある山田賢児さんに教えてもらいます。

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前回もお話ししたように、管理栄養士の教科書では1日3食がキホン。欠食はNGとされています。
ただ、活動量が減っている現代人は必ずしも3食摂らなくてもいいのではないかという考え方もあり、私もそれには賛同します。また、朝食をあえて摂らずに空腹時間を長くすることにはメリットもあります。
「プチ断食」という言葉を聞いたことがある人も多いと思いますが、空腹時間を長くすると成長ホルモンの分泌が増えたり、エネルギー代謝が上がったりすることがわかっています。うまく活用できれば体脂肪が減る可能性もあるので、これはダイエットをしている人にとってはありがたいメカニズムと言えるでしょう。
体の細胞には自身の中の物質を分解し、リサイクルを促す「オートファジー」と呼ばれる現象があります。そして、このシステムは飢餓状態に近づくと働きが強くなるとされているのです。そのために必要な空腹時間は12時間や16時間など諸説ありますが、いずれにしても空腹が続くと細胞は生まれ変わるための活動を開始し、その結果として脂肪の燃焼も促されるようです。
ちなみにオートファジーには他にも健康促進、アンチエイジング、免疫力向上などの効果があると言われています。
私がトレーニングや食事を指導しているクライアントの中にも、プチ断食を実践することで脂肪の減り方や体調にポジティブな変化が表われたと実感し、定期的に行なっている人がいます。
ということで、ダイエットのために朝食を抜くのはOK。ただ注意してほしいのは、その後の昼食で糖質を摂り過ぎると血糖値が上がりやすく、逆効果になったり、眠くなってパフォーマンスが落ちたりする可能性があることです。
もうひとつ、3食のうち1食を抜くということは、そのぶん1日の中で栄養を摂取するチャンスが減ることになります。ですから、残りの2回の食事ではしっかりと栄養を考えるべき。足りないと思ったら、間食などで補うといいでしょう。
とくにダイエット時は脂肪だけでなく筋肉も一緒に落ちてしまうのが普通なので、タンパク質は積極的に確保したほうがいいと思います。
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