せっかく食事をするなら、効率よく栄養を吸収したいもの。しかし、食べ合わせによっては、マイナスに働いてしまう相性の悪い食材もあります。複数の食材を摂る場合、どのような点に注意するべきでしょうか。管理栄養士の山田賢児さんに聞きました。
【動画】キーワードは“朝タン” 筋肉を育てるタンパク質の摂り方
前回お話ししたように、筋トレ後は体の中でタンパク質の合成が活性化します。これをトレーニーやアスリートは「ゴールデンタイム」と呼び、この時に十分なタンパク質(アミノ酸)が体内に存在していることが重要です。
では、普段の食事においても、消化・吸収が高まるようなゴールデンタイムはあるのでしょうか。答えはNOだと思います。仮に多少あったとしても、それほど大きな変動はないでしょう。時間というより、食べ合わせのほうが影響は大きいと思います。
日本では古くからの伝統なのか、食べ合わせの良し悪しがよく話題になります。実際、同時に食べることで消化・吸収を助ける食材があれば、逆に阻害し合ってしまう食材もあります。
たとえばニンジンなどに含まれるβカロテンは、油と一緒に摂ると消化・吸収が高まります。βカロテンは体内でビタミンAに変換されますが、緑黄色野菜に多く含まれるビタミンA、E、K、またキノコ類や魚に多いビタミンDは「脂溶性ビタミン」と呼ばれ、油に溶け込むことで吸収されるという特性がありあす。ですから、これらの食材は油炒めや揚げ物など油を使った加熱調理に向いています。
一方、ビタミンB群やビタミンCは「水溶性ビタミン」で、水には溶けやすいのですが加熱すると壊れてしまう場合があります。ですから加熱調理せず、サラダとして食したほうが適していると言えます。
また、お茶に含まれるタンニンは鉄分との関係がよくないとされ、食事の時にお茶を飲むと鉄分の吸収が少し阻害されてしまう可能性があります(ただし、お茶に含まれるビタミンCは鉄分の吸収効率を高めるとされています)。
このように、食べ合わせによるメリット・デメリットは実際にあります。ただ、それをすべて覚えておくわけにもいかないので、普段からいろいろな食材から多彩な栄養素を摂取しておくのがいいと私は思います。その中で気になる食べ合わせがあれば、それを意識すればいいのではないでしょうか。
たとえば脂質の摂取を気にするあまり、野菜を食べる時にノンオイルのドレッシングにばかりこだわる必要はないと思います。赤パプリカやカボチャなど脂溶性ビタミンを豊富に含む野菜の場合は、むしろオイルを使ったほうが食材の栄養素を効率よく吸収できるからです。
ダイエット時には脂質や糖質などを制限することもあると思いますが、あまり極端にカットしてしまうと逆にマイナス面も出てきてしまうのではないかと思います。
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