『ラヴィット!』で大ブレイクのNEO筋肉芸人 「脱がない&元気ない」それでも人気の男が生まれた理由【青木マッチョ(前編)】




47cmある極太の上腕に、180cmの長身。もはやテレビの枠に収まらないマッスルボディを搭載している筋肉芸人が大ブレイクしている。

その名も青木マッチョ。芸名に恥じないボディは規格外に筋肉隆々だ。彼はTBS系朝番組、『ラヴィット!』に出演すると一気に知名度を上げ、「2024年ブレイク芸人ランキング」では3位にランクインした。

【インタビュー動画】“脱がないマッチョ芸人”の誕生秘話

筋肉芸人と言えば先駆者・なかやまきんに君をはじめ、「脱いで肉体を披露する」「とにかく元気」というイメージを持つことも多いだろう。しかし、青木はまさに真逆の境地を行っている。

「本とかテレビでは、筋トレするとテストステロンが分泌されて、どんどん自信がつくとよく見ます。でも自分は正直、自信がついたっていう実感は一切ないんですよね。体が2倍くらい大きくなっても、中身はガリガリで不良に絡まれている中学1年生の自分のままなんです。よく言われる男性ホルモンが分泌されてない可能性があるので、1回誰か僕を研究してほしいです(笑)」

基本的に物静か。衣装はタンクトップでも上半身裸でもなく、半袖チェックシャツ。趣味は音楽や謎解きといった“マッチョらしくない”筋肉芸人が令和に爆誕した。

そんな彼の筋トレのルーツは学生時代に遡る。聞けば地元の治安が荒れていたことから、長身でガリガリだった青木は格好の的であり、自己防衛のために体を鍛え始めたと言う。「絡まれたくない」という一心が、現在の迫力ボディの原点になった。

「中1ですでに身長が180cmあったんですけど、体重は56kgとガリガリでした。中学は陸上部に入っていて、目立ちたくない反面、やるなら本気でやりたくなってしまうんです。足が速くなるためには体が軽くないといけないと思っていたので、拒食症になるくらい食事を削っていました。筋トレはしていましたが、当然効果は出ないですよね。中3の時に体重を10kg落としたのにタイムが落ちてしまって、これはおかしいと思って食事や体づくりを見直すようになりました」

学生時代の青木マッチョ(写真提供/吉本興業株式会社)

内向的な少年に備わっていたストイック精神は、彼をハードな状況に誘いがちだった。高校は自由な校風の男女共学に進み、軽音部で楽しい学園生活を夢見ていたが、その目論見は一瞬で崩れ去った。

先輩に誘われラグビー部に入部したところ、鍛えあげた肉体と陸上部仕込みの俊足が目に留まり、1年生からレギュラーに抜擢。公立高校ながら県No.1の高校に勝利するほど黄金世代が集まっていた時期に入部したこともあり、過酷な3年間を送ることになった。その中で青木の支えになったのが筋トレだったという。

「どんなに練習がきつかったり監督に怒られたりしても、ベンチプレスの重量が上がるとすごくうれしいんです。『強くなってる』とか『レベルが上がってるな』っていうのがわかりやすいので。ラグビーが上手くなるって感覚ではわかりづらいですけど、筋トレは何kg挙げたとか数字でしっかりわかるので、成長を実感しやすかったというのはありますね。筋トレを通じて成長できている実感があったからこそ、厳しい練習の中でも自分を見失わずにいれたと思います」

モテたい、目立ちたい、痩せたい――。そんなよくある動機とは真逆から始まったトレーニングライフ。今やその筋量ゆえ、何をしていても目立ってしまう青木は、その恥ずかしさから服をまとう。

「筋肉芸人の先輩方がつくってきたイメージのように自分は元気にできないので、逃げではあるんですけどね。ただ、脱ぎたくないけどお笑いで筋肉は武器になっているので、目標は長袖を着ていてもわかるくらいマッチョになることです。まだまだ理想の大きさには足りないですね」

(中編に続く)

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