「筋肉はお笑いにおいて“フリ”」彗星のごとく現われたネガティブ系マッチョ芸人、目指す唯一無二の境地とは?【青木マッチョ(後編)】




180cm、90kgの体躯で筋肉隆々。芸能界トップクラスのボディを引っ提げた青木マッチョは、2024年に大ブレイクをはたした。

彼の芸風は従来の筋肉芸人とは一線を画すものであり、「脱がない」がベースになっている。さらに1000個ほどあるという特技は「楽器演奏」「あみだくじで一発正解」「謎解き」などインドアなものばかりだ。内向的なマッチョ芸人として唯一無二の境地を行く彼には、自らの強みを最大化する戦略がある。

【インタビュー動画】“NEO筋肉芸人”青木マッチョの人生に迫る

「根が暗くてインドアな自分を強みにできないかなと考えました。こんなことを言ったら怒られるかもしれないですけど、筋肉はお笑いにおける『フリ』なんです。先輩方がつくりあげてきてくれた筋肉芸人のイメージがあるから、マッチョっぽくないことをすることが笑いになる。その強みを大事にして、『面白い』という印象を一番に持ってもらえるような芸人になりたいです」

「かけおち」は、2022年に赤木ぼうず(現・赤木細マッチョ)、鈴木ロン毛とのトリオとして発足。リズミカルなネタ構成やツッコミ、青木が「読書などマッチョっぽくないことをする」「唐突に相方を持ち上げる」などのボケで注目を浴びてきた。

2024年10月からはネタづくりを担当していた鈴木が脱退してコンビとなり、青木もネタを書くようになるなど新境地を模索している。

かけおちでの一枚(2023年撮影)。左から青木、鈴木、赤木(現在は青木と赤木のコンビで活動中)

「トリオ時代に最初に言われたのが『青木君、脱いで』だったんですけど、『できないです』と言ったら微妙な空気になって『やばい、外される』と思いました。ただ、そこでギャップを活かす漫才が生まれたんです。今のネタでは自分が静かに暴力するというか、『力を制御できてない怪物』みたいなキャラでいくことが多いです。相方ともネタを持ち合って、先輩に見てもらって直しての繰り返しですけど、自分たちだからできる形を追求していきたいですね」

一方で、高校時代にラグビーで県ベスト8、卒業後は消防士として勤務した過去を持つだけに、その運動能力もひとつの強みになっている。2024年末には『SASUKE』に出演、2025年も『最強スポーツ男子頂上決戦』に参戦を予定しており、「なにかひとつすごい結果を残したい」と気合十分だ。とはいえ、やはり目指すのはNEO筋肉芸人として笑いを生み出すことであり、そのベースは揺らぐことはない。

「今は見た目の迫力で『すごい』と言っていただけますけど、やっぱり『面白い』が先に来るように自分を磨きたいですね。筋肉や運動能力に頼りすぎないように。いただいた仕事を全力でやりつつ、新しい筋肉芸人としての自分を磨いていきたいです」

視聴者からは「マッチョは苦手だったけど青木マッチョは好き」といった声も多い。そんな反響に、“ありのままの自分”で表現できる笑いを追求する青木は照れ笑いを浮かべる。

筋トレ時は長袖着用。鏡は見ない。今日も青木はジムで感じる視線に恥じらいを覚えつつ、黙々とトレーニングに励んでいる。

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