空手世界一に挑む“高速パンチ女子” 目代結菜の強さを支えるビジョントレーニングとは?




フルコンタクト空手の体重別世界王者を決める『第1回全世界フルコンタクト空手道選手権大会(WFKO世界大会)』が、5月31日~6月1日に東京・有明アリーナで開催されます。

【フォト】ビジョントレーニングに取り組む目代選手

そんな大舞台で悲願のビッグタイトル獲得に挑むのが、目代結菜選手。代名詞である高速の突きを武器に、全日本大会や世界大会でも上位入賞の常連です。2019年にYouTubeチャンネル『黒帯ワールド』に初出演すると、その後の出演動画が200万回再生に迫る(2025年5月11日時点)など大ブレイク。今ではTVをはじめ、各種メディアにも出演するほどの人気を誇ります。

実力と人気を兼ね備えた目代選手は、2024年10月に新極真会主催の無差別級日本王者決定戦『第56回全日本空手道選手権大会』で自己最高成績の準優勝に輝きました。たしかな手ごたえを胸に世界戦へと挑みます。

そんな彼女の強さを支えているのが、道場での稽古はもちろん、2024年8月から行なっているビジョントレーニングです。目代選手は『フォーナインズ スピリットサポート』としてアスリートを支えるプログラムのひとつ『999.9 VISION LAB.(フォーナインズビジョンラボ)』で、見る力の鍛錬に励んでいます。

ビジョントレーニングとは単に視力だけではなく、周辺視(ある一点を凝視した時、その周囲を認知する能力)や目から取り入れた情報への反応など、競技に関わる見る力を総合的に向上させるものです。目代選手は試合中に広い視野を確保し、動じない組手をつくるため、主に「左右の見る力のバランス調整」「周辺視」のトレーニングに注力しています。

さまざまな種目に取り組む目代選手

ビジョントレーニングはまず検査からスタートし、さまざまな観点から見る力を測定。検査結果をもとに状態に合うメニューをビジョントレーナーが選定し、多様な種目に取り組みます。取材時、目代選手は計9種目(多数のランプがついたボードの前に立ち、条件つきで点滅したランプを押すなど)を実施し、見る力を鍛えていきました。

こうした鍛錬が空手にどう影響するのでしょうか? 人は基本的に視野の左側の認知が弱いと言われており、認知力が高い右側に視野の中心がズレることがあります。そのズレは空手にも影響があり、見えにくい範囲を逆目でかばうことで視野が狭くなってしまうのです。

見る力を鍛えることによる視野の広がりは、試合中の余裕にもつながります。以前から“心のコントロール”を課題に挙げていた目代選手は、ビジョントレーニングを始めてから試合中の余裕を感じるようになったと語ります。WFKO世界大会では積み重ねた稽古、そして視野改革で培った強さで頂点獲りを狙います。

ここからさらにギアを上げ、5月31日-6月1日の決戦に挑む目代選手。ぜひその活躍を有明で見届けましょう。

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