三島流平が“孤高のボディビルダー”という印象を持たれる一因に、時にSNSで実直すぎて炎上してしまう発信にあるのではないか。その一つが、2023年の第1回ジュラシックカップでの、運営に対する主張であろう。あらためて、あのときボディビル選手として何を思い、その言葉を発したのか、聞いてみた。
――2023年と言えば、ボディビル界のレジェンド・木澤大祐選手と合戸孝二選手が主催する大会として産声を上げた「ジュラシックカップ」にも出場されました。大会後、三島さんの発言が物議を醸したのを覚えています。
「…ありましたね(笑)。大会に出て、一選手として感じたことを、運営のKENTOさんにYouTubeのコメントでぶつけたんですよ。誰にでも見られる形だったので、それが物議を醸したというか、炎上しました」
――当時のこと、お話しいただけますか。
「ジュラシックカップは結局、筋トレインフルエンサーなどすでに有名な方がもてはやされていると感じ、 あまり気持ち良くなかったんですよ。僕が出場したのはオープンクラス(日本ボディビル・フィットネス連盟<JBBF>主催大会のボディビルカテゴリーで上位入賞経験がない選手などがエントリー可)だったのですが、ステージに上がる直前にMCの方が、『このカテゴリーには●●選手や●●選手が登場します!』って言っちゃうんですよ。僕のカテゴリーだと、筋トレYouTuberのかとちゃん(加藤昌平選手)とか、JBBFでも人気がある白井寛人選手とかの名前が呼ばれてたかな」
――あくまでボディビル競技なので、全員が平等なはずなのに。
「これからステージに上がるというのに、そこでちょっと気持ちが冷めちゃったんですよ。だって、そう言われればお客さんの目はそっちにいっちゃうじゃないですか。もちろん、審査員がそれに惑わされて結果が変わるわけじゃないし、しっかりと身体を仕上げて臨めばいい話ではあるのですが…。最上位のグランドクラスはJBBFトップ選手やインフルエンサーなど、ほぼ全員が有名選手なのでその演出でもいいと思います。でも下のクラスはそうじゃなくてもいいと思いましたし、『有名な選手にフォーカスされるような演出は、他の選手にとっては面白くはないんじゃないですか』と、KENTOさんに率直に伝えたつもりです」
――確かに、三島さんのように主張はしなくても、同じことを感じていた選手はいたかもしれません。
「そもそもこの大会のコンセプトとして、木澤さんもおっしゃっていましたが、『ボディビルで食っていける社会を』というのがあり、それに共感してエントリーを決めました。仕事とボディビルの両立に困っていたり大変な思いをしている選手たちの力になったり、全国大会で活躍する選手だけじゃなく、もっと下のほうにいるような選手たちの力になっていきたい、というような話があったと思います。それが実際に出たら、インフルエンサーや有名選手がフォーカスされたというのは、エンタメ性を取り入れて大会を盛り上げるためという運営側の考えは理解しつつも、ちょっと聞いていた話というか想像していた形とは違ったなと感じたんです」
――その意見を目にした人からは、ただのいちゃもんだとか、文句言うなと言われてしまったと。
「初開催の大会でしたし、ステージに立った選手の意見とか感想って大事だと思うんですよね。直すべきところがあったら直したほうがいいと思いますし。ただ、あんまり変な噂というか印象がついちゃうとJBBFとしてもあれなので、あまりこう火を起こさないほうがいいとは思うんですけど…我慢できなくて、つい言ってしまう。思うことがあるのに心に留めておくのは、自分は好きじゃなくて」
――言い方や言葉の選び方はいろいろあると思いますが、そういう素直な意見というのは、必要だと思いますし、それが三島さんの良いところなのかと。
「ただの酔っ払いなのでね、いろいろ言っちゃうんですよ。でもそれは本能的なものというか、本心なので、わかってもらえるとありがたいなと思います」
(第8回へ続く)