YouTubeに投稿しているボディビル解説動画が話題の筋肉マニアが、毎週一人のボディビルダーをピックアップして紹介していく連載「解体筋書」。今回は、2016年日本選手権6位の山口裕選手です。
マシンメインで作り上げた繊細なカット
山口選手は、2015年~2018年まで日本選手権ファイナリストとして活躍されていた方で、”伝説の男”須江正尋選手に次ぐ背中の広がりが特徴的なボディビルダーです。もともとは、体操選手でしたが、大学4年生の時にアキレス腱を切ったことで練習ができなくなり、ウエイトトレーニングを本格的に始めたことで才能が開花しました。
2006年に初めてコンテストに出場し、間隔が空いてはいたものの、2015年に日本クラス別75kg以下級優勝・日本選手権12位、2016年はジャパンオープン優勝・日本選手権では最高成績となる6位を獲得しました。2018年以降は大会に出場されていませんが、広い肩幅と細いウエスト、そして類い稀な広背筋が作り出す究極の逆三角形は、山口選手にしか出せないインパクトがありました。
これほど広がりのあるアウトラインは、山口選手の骨格やバックボーンが体操競技ということに大きく関係していますが、驚きなのはそのトレーニング方法です。一般的に体の厚みや基礎を鍛えるには、フリーウエイトを扱うことが主流とされていますが、山口選手は腰の状態が良くなかったこともあって、ほぼフリーウエイトなし・マシン中心のトレーニングであの肉体を作り上げたそうです。ディティールの細かい背中や繊細な筋肉のカットは、これがルーツなのかもしれません。
また、減量幅が非常に少ないことも山口選手の特徴です。オフシーズンに入っても仕上がり+2~3kg程度しか乗せないため、年中ベストコンディションに近い状態を維持していました。筋肉量を増やすには、オーバーカロリー(摂取量が消費量を上回ること)が重要だと考えられていますが、彼はオフシーズンの過ごし方についても他の選手とは違う選択をしており、ボディメイクの手法は十人十色だということに改めて気付かされました。
今回は山口裕選手についてお話しさせていただきました。山口選手は現在、事実上引退されており、どこで活動されているのかも不明の状態ですが、いつの日か異次元のVシェイプがステージに再来してくれることを期待したいですね。須江正尋、山口裕に次ぐ次世代の広背筋モンスターの登場も楽しみです。
次回は「浪速の修行僧」と呼ばれる大阪を代表するトップビルダーについてお話しします。お楽しみに!
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