「ボディビルは70歳になろうができるんです。その年齢の世界チャンピオンの姿を見てきたので、今そんなに焦ってやる必要はない」




2024年の大会をもってボディビル競技からいったん離れることを決めた三島流平。とはいえそれは「引退」ではなく、いつかステージに帰ってくるだろう。9回にわたって届けてきたインタビューの最終回として、これからの展望を聞いた。

【YouTube】怖そう…という印象がガラリと変わる三島さんのインタビュー

――今後のことも聞かせてください。まず、ボディビル競技は昨年の大会出場をもっていったん休止することにしたんですよね。

「はい。認知症の母親の介護もしながら会社員として働き、さらにピラティススタジオもやって、その中でボディビルもやるという選択を、なかなか今はとることができません。引退というわけではないですが、しばらく大会に出る予定はありません」

――この数カ月はいろいろな活動に取り組んでいるのをSNSで拝見します。

「以前からモデルの仕事にお声掛けいただいたこともあれば、先日も1試合だけぶっつけ本番で格闘技の試合に出たこともありました。こうして取材をしていただけることも含めて、ありがたいことにいろいろなチャンスをいただけるのは、ボディビルやフィットネスに取り組んできたからこそのものです。こうしたつながりは、自分のアピールポイントであり、財産となっています」

――とはいえ、やはりボディビルのことを話すときが一番饒舌ですし、いずれ競技に復帰したいんじゃないですか。

「ボディビルは、60歳になろうが70歳になろうができるんですよ。しかも、その年で世界チャンピオンになった人たちの姿を見てきたので、今そんなに焦ってやる必要はないかなと思っています。いつでも復帰できる、そういう気持ちです。ただ、やっぱりボディビルが好きなので、早く出られるのならまた出たいなとは思っています」

――あらためて三島さんにとってボディビルの魅力は。

「アンチエイジングだと思います。もともと格闘技を再開したときもそうでしたが、なるべく年を取りたくないと思っていますし、続けていると常に若々しく、常に元気でいられるものだと思います。格闘技は、年を重ねてやったら怪我がやっぱり怖いしリスクがありますが、ボディビルはそのリスクは少ない。何歳になっても続けられるのは魅力だし、自分が出会ってきたボディビルダーはみんな若々しい方ばかりですよ」

――金澤利翼選手という、88歳の日本最高齢ボディビルダーも健在ですからね。昨年も男子ワールドカップに元気に出場されていました。

「以前に金澤さんとは日本選手権で一緒になりましたけど、本当にすごい人。元気に話してくれますし、面白い方ですよ」

―-―少し余談ですが、国際大会に行った際のVLOG的な動画をYouTubeなどにアップされていて、日本代表選手たちとの和気あいあいとする姿や、ステージ裏での姿まできっちりと映像に残していますよね。日本のボディビル・フィットネス界にとって非常に重要な財産だと感じました。

「やっぱり初めて国際大会行く人って、国際大会がどういうもので、何をしていいかわからないと思うんです。特に個人競技ですから、日本にいるうちからそのイメージはしにくい。でも、実際は日本というチームとして動いて、協力しあって戦っているのだというのがわかるように、シリーズにして一つ一つアップしていきました」

――現地の状況がまじまじと伝わってくるものでした。

「今後行く人たち参考に少しでもなればいいなと思って残しています。楽しさも伝わると思いますし、自分も行ってみたいという選手が増えるかもしれません」

――実は今回の取材、「三島さんの印象が変わるものにしたい」という裏テーマを持っていました。こうしてお話しする以前は、正直、かなり怖い人のイメージを自分も持っていたもので。

「やっぱりそうですかね?でも、いろいろな選手と話す機会はこの数年でかなり増えましたし、自分のことを知ってもらうと、なんか皆さん面白がってくれます(笑)」

――またボディビルのステージで会えることを、私も楽しみにしています。

「ありがとうございます。今は先ほど話したモデルの話などをいただくこともあるので、いろいろと頑張ってみたいですし、もちろんピラティススタジオももっと盛り上げていかなければいけません。今は焦らずに土台固めにフォーカスしているところなので、ある程度それができあがって花が開いてきたら、またボディビルのステージに立ちたいと思います」

(終)

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