YouTubeに投稿しているボディビル解説動画が話題の筋肉マニアが、毎週一人のボディビルダーをピックアップして紹介していく連載「解体筋書」。今回は、2021年日本選手権5位の木村征一郎選手です。
頭が3つ付いているように見える三角筋
木村選手は大阪を代表するトップビルダーの1人です。2014年に初の日本選手権ファイナリスト入り、以降2017年〜2024年にかけては7大会連続でTOP10入りを果たしており、最高成績は2021年の日本5位となっています。また、2018年からは日本クラス別65kg以下級の絶対王者として君臨しており、昨年の日本選手権ファイナリスト唯一の軽量級選手でもあります。
メディアやSNSへの露出が極めて少なく、ファイナリストの中では知名度の高くない選手ですが、その肉体は折り紙付きです。身長160cm体重65kgの中に詰まりに詰まった筋肉は、真円のような丸みとはち切れそうな程の筋密度を演出しています。非常に弱点が少なく、上半身と下半身、フロントとバックのバランスについてもほぼ完璧と言えるでしょう。中でも三角筋は異次元で、フロントラットスプレッドでの張り出しやバックダブルバイセップスでの丸みは、頭が3つ付いているように見える程です。
木村選手はバランスの取れた体を持つだけでなく、仕上がりもハードで安定しています。毎年、血管バリバリの絞れた状態でステージに上がっており、パンパンに張った筋肉を見せ付ける堂々たるステージングは美しさすら覚えます。近年は大型選手の勢いが凄まじく、比較的フレームがコンパクトな木村選手は、やや不利な状況といえますが、僕はジャイアントキラーとして輝いてくれることを大いに期待しています。
ステージ外での彼は謎に包まれていることが多いですが、実際にお会いしてみると非常に気さくな方で、大会直後で疲れているにも関わらず、笑顔で一緒にお写真を撮っていただけたことは、今でも忘れません。明るい人柄や知名度が高すぎないこともあって、より彼を応援したくなりました。
昨年の日本選手権では、新世代と真っ向から向き合い、9位という成績を残した木村選手。ファイナリストの中では少数派となったベテラン勢の「鉄壁の要塞」として今後も活躍してほしいですね。
次回は、41歳で初のファイナリスト入りを果たした日本屈指の仕上がりを誇る「魂の男」についてお話しします。お楽しみに!
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