肩や首の不調を予防&改善! “肩甲骨はがし”の効果と実践法【解説=八角卓克/監修=バズーカ岡田】




ストレッチは実施が簡単であることから、日常生活に取り入れることでストレス緩和や体の不調改善にも一役買ってくれる。今回は肩まわりへのアプローチでよく聞く“肩甲骨はがし”について、書籍『世界一細かすぎる筋トレ ストレッチ図鑑』でスポーツ動作パートを担当した八角卓克先生に話を聞いた(監修:日本体育大学教授・岡田隆)。

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肩甲骨周囲のさまざまな筋肉にアプローチ

“肩甲骨はがし”とはいわゆる俗語で、肩甲骨をさまざまな方向に動かし、肩甲骨まわりの筋肉をほぐす方法のことを指します。これを続けることで柔軟性向上、肩の動きの正常化、肩コリや猫背の改善、血流を良好にする、頚部の痛みを和らげるなどの効果が期待できるでしょう。

肩甲骨まわりの筋肉の状態は、肩の動きにダイレクトに関係する他、首のポジションにも影響を及ぼします。肩や首の不調に対しては、具体的にどの部位がどんなエラーを起こしているのかを正しく見る必要があります。

たとえば肩を痛めてしまう人の多くは、腕を上げた時に肩甲骨がきれいに上方回旋しないなど、運動が正常に行なえていないことがほとんどです。こういった状態であれば、まず肩甲骨の動きを正常化する必要があります。

肩甲骨をきれいに上方回旋させる上で大事な筋肉(部位)が、僧帽筋上部、僧帽筋下部、前鋸筋の3つ。前鋸筋は肋骨についている筋肉で、ボクサーの体で発達が顕著です。これら3つの筋肉が連動してスムーズに動くことが非常に大事です。

本来は僧帽筋上部・僧帽筋下部・前鋸筋が1対1対1の割合で動くのが好ましい状態。例えば、この比重が2対0.5対0.5のようになってしまいバランスが崩れると、肩の痛みやインピンジメント症候群(肩を挙げていく時、ある角度で痛みや引っかかりを感じ、それ以上は挙上できなくなる)の引き金になる場合があります。

筋力が落ちたり、比重が崩れたりするのは、柔軟性の低下や私生活の兼ね合いなど、人によって原因はさまざまです。また、僧帽筋下部・前鋸筋は意識することが難しいため、上手く使えないというケースもあるでしょう。そういった背景で自力での改善が難しくても、アンバランスな状態を放置するのは危険です。今は不調を感じなくても、将来的に痛みが生じるリスクがあるからです。

つまり、肩甲骨の動きを適正化することは、肩や首の不調を改善したり予防したりする上で大事な要素になります。とくに肩まわりの筋肉の柔軟性を獲得していくことは重要で、そのために“肩甲骨はがし”のような動きを行なうと効果的でしょう。

では最後に、肩甲骨まわりの筋肉(前鋸筋)を活性化させるエクササイズをひとつ紹介します。ぜひ日々の中に取り入れてみてください。

【肩甲骨プッシュアップ】

➀うつ伏せになり、ひじを床に立てる。肩甲骨は寄せずに下制させ、腹を引き締めることがポイント。

②肩甲骨ごと上腕を押し出すような感覚で、上体を持ち上げる。肩甲骨を開き、上背部を丸めながら床を押すように意識。

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