YouTubeに投稿しているボディビル解説動画が話題の筋肉マニアが、毎週一人のボディビルダーをピックアップして紹介していく連載「解体筋書」。今回は、2023年日本選手権11位の白井大樹選手です。
【フォト&ムービー】高身長バルク派、新時代のボディビルダー白井のステージング
異彩を放つ唯一無二のラットスプレッド
白井選手の特徴は、178cmの高身長と長い手足が作り出すとんでもなく巨大なフレームです。ボディビルダーの中では頭一つ抜けた身長もさることながら、類い稀な骨格に付いたメリハリのある筋肉は、巨人のような迫力を生み出しています。また、顔が小さく、ウエストも細いため、プロポーションについても化け物級と言えるでしょう。これといった弱点もなく、バランスについてもかなり綺麗な選手だと思います。
フレームが巨大なことはスケール感を演出する上で非常に重要な要素になると同時に、筋肉の密度感を高める点においてデメリットにも働きます。しかしながら、体全体をどのようにボディビルやポージングに落とし込むかによって自身の骨格を有利にできるかどうかは変わってきます。
彼の場合、隙間を埋めづらいフロントダブルバイセップスや全身のボリューミーさをアピールしにくいサイドトライセップスはやや不利に見えますが、強みのプロポーションと胸郭周りの厚みを生かしたフロントラットスプレッドとサイドチェストは唯一無二の迫力を放っており、自身の個性を上手く活用していることがわかります。
白井選手は現在36歳で、コンテストデビューは20歳の時になります。毎年、着実な進化を見せ、成績もしっかり上げていた彼ですが、「異次元のレベルを誇るブロック大会」東京選手権では、2017~2019年まで3年連続2位という悔しい状況が続きました。同大会は、学生ボディビルや他団体からの刺客が初出場で優勝することも少なくなく、白井選手はダークホースの存在に長年悩まされていました。
そして、4度目の正直となった2021年。万全のコンディションと隙のなさを披露した白井選手は、2024年に日本5位となった寺山諒選手等の並いる強豪を抑えて、ついに優勝。その後、2023年には「日本選手権ファイナリストの登竜門」ジャパンオープンを制覇。同年には、念願の日本選手権ファイナリスト入りを果たし、日本11位となりました。175cm越えの身長と無類のプロポーションはトップ選手の中でも異彩を放っており、彼の飛躍は翌年に訪れる高身長バルク派時代の到来を予感させるものでした。
今回は、白井大樹選手についてお話しさせていただきました。昨年は、ファイナリスト入りを逃してしまった白井選手ですが、日本トップクラスのボディビルダーであることは間違いありません。同じ高身長勢に対して、今後どのような戦いを見せてくれるのか非常に楽しみですね。
次回は、次期ファイナリスト最有力候補の超新星についてお話しします。お楽しみに!
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