股関節の動きが悪くなる要因とは? 周囲の筋肉の柔軟性と筋力の関係【解説=八角卓克/監修=バズーカ岡田】




スキマ時間でできる手軽な取り組みでありつつ、日常の不調改善に効果を発揮するストレッチ。今回は書籍『世界一細かすぎる筋トレ ストレッチ図鑑』でスポーツ動作パートを担当した八角卓克先生(監修:日本体育大学教授・岡田隆)に、体を支える大事な関節・股関節周辺へのアプローチについて聞いた。

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骨盤の状態から見ていく必要がある

股関節は人体で最も大きな関節であり、体を支えたり動作をしたりする上で非常に重要な役割をはたします。ですから、股関節の動きが悪くなることによるデメリットはきわめて大きいと言えるでしょう。

股関節に不調が生じる要因は周囲の筋肉にあります。それらの筋肉にアプローチする前提として、現在の股関節の状態を正しく見極める必要があります。ここで重要なのが骨盤のポジションです。これが乱れている場合、骨盤周囲筋の柔軟性が低下しているだけでなく、筋力が弱っている部位が必ず存在します。

たとえば骨盤が前傾している場合は大腿四頭筋が硬い一方で、ハムストリングスや臀筋は筋力が低下して緩んでおり、正しく使えていないことが多いと考えられます。こういった場合、大腿四頭筋にはストレッチ、ハムストリングスには筋力アップにフォーカスしたエクササイズを取り入れるのが効果的です。逆に骨盤が後傾している場合は、逆のアプローチを行なうのが良いということになります。

このように股関節の可動域(柔軟性)を改善するためには、股関節はもちろん、骨盤の周囲筋に正しくアプローチしないといけません。

ちなみにエクササイズは、はじめから筋力強化を目的としたレベルでなくても大丈夫です。感覚が鈍っているケースが多いので、まずは筋が収縮する感覚を取り戻していきましょう。

股関節の屈曲や伸展はうまくできても、回旋ができないケースも多いです。股関節は球体の関節でいろいろな方向に動くので、その正しい動きを理解すること、また、正しい動きを可能にするよう周囲筋にアプローチすることが大事だと思います。股関節まわりの筋肉に対するストレッチやエクササイズを以下に紹介しますので、ぜひ試してみてください。

【90-90ヒップリフト】

➀仰向けに寝て、ベンチに両足のかかとを置く。その際、息を吐いて肋骨を閉じ、ヒザは90度。つま先は真っすぐ上に向ける。腰は反らさず、手のひらを床につけることも意識する。

②お尻を上げていく。上背部は床につけたまま、腰は反らさず骨盤を後傾させる。その際、足首とヒザの形はキープする。

③ももの裏側を両手で触ることで、収縮していくことを感じると良い。

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