ウクライナの空手家が東京で鮮烈V 武道の力で世界平和へのメッセージを発信【新極真会】




世界最大規模のフルコンタクト空手団体・新極真会が主催する「第3回東京都空手道選手権大会」が6月22日に駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場で開催された。毎年1000名を超えるエントリーが集まる本大会は、第1回から「ウクライナ復興支援チャリティー」として開催されている。

【フォト】海外からも選手が参戦 東京都大会の様子

本大会を主催する塚本徳臣師範(新極真会世田谷・杉並支部支部長)は、無差別級世界大会を2度制している伝説の空手家だ。世界王者として何ができるか思案した時、世界平和に貢献したいと強く思ったと言う。

塚本徳臣師範

「世界大会に出た時、ウクライナの選手と試合をしたことがありました。一度試合をした選手とは心が通じ合う友人になります。その友人の母国で戦争が起こっているのを見て、何か声をあげなければならないと思いました。そういった勇気を持たなくなったら、チャンピオンになった意味がないとも感じました。自分は武士道精神こそ、世界を平和に導くと信じています。武士道の武の字には『矛を止める』という意味が込められていますから、そういった思いで空手の大会を行なっていくことで、世界中から少しでも戦争がなくなることを願っています」

今大会には、国内はもとより海外諸国からも空手家が集結。戦禍にあるウクライナからも選手が参戦した。

パリィ・セベリン選手

選手宣誓を務めたパリィ・セベリン選手(新極真会ウクライナ支部)は、一般男子上級中量級に出場。トーナメントを勝ち上がると、決勝ではルイジ・カランサ選手(新極真会コスタリカ支部)と対峙した。海外選手同士の組み合わせとなったファイナルは序盤から突きの応酬となり、中段突きと後ろ蹴りで合わせ一本を奪ったセベリン選手が優勝をはたした。

強烈な中段突きを放つセベリン選手

試合後にセベリン選手は「このチャンピオンシップに来ることは、私にとってとても大切なことでした。塚本師範が私たちを招待してくださったことは、非常に光栄です。私はここにいられてとてもうれしいですし、このような舞台でウクライナを代表できることを本当に誇りに思います」とコメント。続けて「世界中のみなさんに伝えたいのは、戦争はまだ続いているということです。どうかこのことを忘れないでください。そして、支援をしてくださっているみなさんに感謝します。本当にありがとうございます」と思いを語った。

同階級以外でも熱戦が展開され、大きな熱量を生み出した東京都大会。本大会が届けるメッセージは多くの人に伝播し、世界平和に寄与していくことだろう。

【写真は次のページ】東京都大会で繰り広げられた熱戦の模様