YouTubeに投稿しているボディビル解説動画が話題の筋肉マニアが、毎週一人のボディビルダーをピックアップして紹介していく連載「解体筋書」。今回は、日本クラシックフィジーク階級別4連覇の五味原領選手です。
クラシックフィジーク=五味原領
クラシックフィジークとは、1970~80年代の黄金期と呼ばれる時代に活躍したボディビルダーたちの美しい肉体を復活させようという目的で新設されたカテゴリーです。細いウエスト、長い手足、発達した四肢等から形成されるXシェイプが理想とされており、ボディビルと比べてよりプロポーションや審美性を追求した選手が多いです。JBBFでは2021年に初めて導入され、同年の日本大会から現在に至るまで、階級別4連覇、オーバーオール3度の優勝を達成しているのが”絶対王者”五味原領選手です。
日本クラシックフィジーク界の象徴とも言える存在の五味原選手ですが、その強さの秘訣は「再現性」にあります。彼が作り出す肉体やステージングは、黄金期のボディビルダーのそれすらも超越しているような完成度をしており、まさに「クラシックフィジークの理想」と言えます。この理想の再現性こそが彼の強みです。
細いウエストから丸く広がる広背筋、極めて円形に近い上腕の形、重厚感に溢れすぎない適度な下半身のバルクと外側広筋の見事な張り出しは、究極のバランスとアウトラインを生み出しています。また、このカテゴリーにおいては最も重要とされる、バキュームポーズの完成度も圧巻です。「バキューム」とは簡単に言えば、お腹を極限まで凹ませる動作のことです。クラシックフィジークにおいては、このバキュームが深ければ深いほど評価が高く、順位にも大きく影響します。五味原選手は、文字通りお腹と背中が引っ付きそうなほどにバキュームが深く、卓越したアウトラインも相まって、上半身にはとてつもない立体感が生まれています。加えて、伸び上がるようなポージングは、彼の体をより引き立てており、表情管理についても完璧です。
非の打ち所のない肉体美は、世界でも高い評価を受けており、昨年のワールドカップでは日本人初のオーバオール優勝を達成しました。今年はジュラシックカップにて、3年振りにボディビルに復帰すると宣言されており、さらなる活躍が楽しみです。
次回は、世界ジュニアを制した稀代の怪物についてお話しします。お楽しみに!
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