健康を語る上で、「風邪を引きにくい体」をつくることは重要です。今回は管理栄養士の山田賢児さんに、お財布に優しく、免疫力アップが期待できる食材について伺いました。

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免疫力を高め、風邪を引きにくい体をつくるためには、当然ですが十分な栄養素を摂ることが重要です。五大栄養素と言われるタンパク質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂取しましょう。もちろん免疫力だけではなく、頭のはたらきや活力にも関わってくるのでぜひ意識していただきたいです。
その中で、今回はとくに不足しがちなビタミンに注目します。
食費を抑えようとすると安価な米、パンといった主食の割合が増え、比較的高価で調理に手間のかかる野菜は不足しがちです。それによるビタミン不足は悩ましい問題でしょう。そんなハードルを解消してくれる野菜として、私はまず「ブロッコリー」をおすすめします。
免疫力を高めるために重要と言われるのがビタミンC(成人の1日の推奨摂取量100mg)ですが、ブロッコリーには100gあたり約140mgと豊富なビタミンCが含まれています。その他にも多様な栄養素を含むことが“野菜の王様”と言われる理由です。はじめから小分けで冷凍されているものもありますし、ひとふさ買ってきて、切って冷凍しておくのもいいでしょう。
もうひとつ、コスパ的におすすめなのが「もやし」です。もやしは1袋あたりの値段が非常に安く、レンジでチンするだけで食べられる手軽さが魅力です。100gあたり10mg前後のビタミンCが含まれており、だいたいりんご1個分ほどのビタミンCを摂取できます。ビタミンCの含有量がものすごく多いとは言えませんが、安くて手軽という点で、毎日続けやすく健康への投資にも適しているでしょう。
もやしにまつわるこんなエピソードがあります。昔、多くの船乗りが長い航海の最中、ビタミンCの欠乏による壊血病という病気に苦しめられました。皮膚の乾燥や脱力感、あざの現出、進行すると体のいたるところから出血するなどの症状が現われ、多くのクルーが亡くなったそうです。
そういった状況でもやしが力を発揮しました。船に積んでいた大豆を水に浸けておくと、芽が出てもやしになります。それを食べた船乗りたちはビタミンCを補給でき、壊血病から体を守ったというのです。もやしは栄養がない野菜だと思われがちですが、そんなことはありません。ぜひ、1日一袋のもやしから野菜不足解消の一歩を踏み出しましょう。
もやしもブロッコリーも同様に「ホールフーズ」(自然のままの形を保った食材)です。加工された食品はその過程で栄養素が損なわれているものが多いため、ホールフーズを選んで食べることは栄養摂取の面でおすすめです。もやしとブロッコリーをひと皿に乗せて、チンして食べれば栄養価的にかなりプラスになると思います。
また、ブロッコリーともやしの両方に含まれている食物繊維には、腸内環境を良くする効果も期待できます。発酵食品と合わせて摂れば、食物繊維が腸内細菌(乳酸菌など)のエサになるので、菌のはたらきを活性化させ、腸内環境改善の効果を高めることができます。良好な腸内環境は免疫力アップにプラスになるので、ぜひ意識してみましょう。
「野菜を摂る=高いし料理が大変」という固定観念にとらわれず、お手軽な方法から風邪知らずの体を目指してみてはいかがでしょうか。
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