8月8日に行なわれた「第36回ジャパンオープン選手権」(大阪・ルミエールホール)の女子フィジークで優勝したのは澤下美香。狂気の男と称されるボディビル界のレジェンド・合戸孝二の下で研鑽を積んできた門下生だ。
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彼女は2023年までボディフィットネスを主戦とした選手。当時から仕上がりの良さで日本トップを争い、グランドチャンピオンシップスでは3位と健闘してきた。だが、身長別、年齢別ともに常に上には、ボディフィットネスらしい丸みのある筋肉を持つ大谷美咲の存在があった。
そんな折、2024年は膝(左足半月板)の負傷により大会を欠場。「大会に復帰できるのかわからず悩んでいましたが、出るなら女子フィジークにしようと決めていました」と、転向を決断して2025年を迎えた。
「1年間休んでいたこともあり減量がきつくて、今日を無事に迎えられるか不安で弱気になっていた」とここまでの日々を振り返る澤下。だが、そんなそぶりはいっさい見せず、女子フィジーク初出場とは思えぬ堂々としたステージングを披露した。
「もともと『しっかり絞れるタイプだし女子フィジークに向いているよ』と周りには言われていましたが、最初は、ヒールを脱ぐ勇気はなかなか出ませんでした。でも、ボディフィットネスのヒラヒラと腕をなびかせるような動きとかが実は苦手で、それよりも、バチっと決めるポージングのほうが好きですし、楽しかったんです。フリーポーズも、練習だといつも失敗してグラついたりしていたのですが、今日が今までで一番うまくいきました」
身長は147cmと小柄。だが、フリーポーズでは男子ボディビルのサイドチェストのポーズや、手をグーにして腕の筋肉を収縮させるポーズを見せるなど、どこか“合戸風”を感じさせ、体格以上のデカさを見せた澤下。
日本クラス別選手権をスキップし、次戦は階級無差別の日本一を決する日本女子フィジーク選手権(10月12日/東京)に挑む。「皆さんと並べるだけで嬉しいです」と控えめだが、ジャパンオープンでは昨年の日本3位の原田理香を抑えての戴冠であり、いきなりトップ戦線への食い込みに期待がかかる。女子フィジークに新たな風を吹かせるか、楽しみだ。