鍛えあげた肉体美を競うボディコンテスト。ビギナー向けの大会や部門も多く、“筋トレガチ勢”のみならず、幅広く門戸が開かれている現状からは、フィットネスの人気が垣間見える。
大会会場には、選手の応援で訪れた初心者も多い。SNSなどで大会の告知を目にし、初めて見に来たという人もいるだろう。そんなビギナー層により大会を楽しんでもらうべく、工夫を行なう団体がある。

俳優・金子賢氏が代表を務めるSUMMER STYLE AWARD(サマスタ/SSA)では、今シーズンから選手によるトークショーを導入した。これはいわゆる“前説”であり、大会の見どころや審査基準、応援の仕方などを、ユーモアを交えながら観客に伝えていくものだ。
先日行なわれた「東京予選&ROOKIE CHALLENGE CUP東京予選」「JAPAN PRO CHAMPIONSHIP」(8月9日-10日、青葉の森公園芸術文化ホール)ではトークショーの中で観客の声援をあおる場面もあり、会場は大盛り上がり。自然な流れで審査に突入し、初心者を置いていかない進行が行なわれていた。
佐藤勇治選手(サマスタ公認プロ)とともにトークMCを務めた上野あつし選手(同じくプロ)に聞けば、この取り組みは選手発信から始まったものだという。MCが舞台に立つのはどの団体でも見る光景だが、選手主導で行なうトークは斬新だ。

上野選手は「プロ選手たちで、どうやったら観客の皆さんに楽しんでもらえるかという話をしました。審査の見方、大会の見どころをお伝えしたら観戦しやすくなるかなということで、事務局に相談してみたら『ぜひやってみてほしい』と言っていただきました」と取り組みの発足を振り返る。その根幹にあるのは、団体やコンテスト界をよくしたいという思いだ。
「サマスタをもっと一般の方に知ってもらいたいです。そのためには、歌舞伎にイヤホンガイドがあるように、コンテスト初心者にもわかりやすい工夫ができればいいなと。団体も10年以上やっていて、選手も観客もマンネリしてしまう部分があると思うので、そうならないようにしたいですね。自分たちの団体がよくなれば僕らも満足感が上がりますし、そこで勝つことに意義があると思います。現状維持ではない工夫を取り入れて、全員が楽しめることを打ち出していきたいです」

次回は10月13日の札幌予選で、初となる地方トークショーを実施。担当できる選手が限られることから今後の見通しは不透明だが、何らかの形で続けていきたいと上野選手は意気込む。
マニアックな舞台から、より多くの人が楽しめる大会へ。こういったポジティブな取り組みが、ボディコンテストの在り方を少しずつ変えていくのかもしれない。