「もうビックリして信じられないですけど、そのうち実感が出てくるんですかね…」と興奮気味に話すのは、小本進太郎、23歳。8月24日に行なわれたジュニア世代(23歳以下)の日本一決定戦「第37回日本ジュニア男子ボディビル選手権大会」「第1回日本クラシックフィジーク選手権大会」をダブル制覇し、この日、もっとも会場を湧かせた男だ。
もともと小本はフィジーク選手として活躍。2023年のジュニア大会で階級3位となり将来を嘱望されたが、「日本一という目標に拘り完璧主義になり過ぎてトレーニング、食事を義務感で行うようになってしまいました。そして目標を見失ってしまいました」とSNSで綴っていたように、昨年は大会から一度離れた。
心身のリフレッシュ期間を経た今年は、「もともと、身体のサイズもあったので周りからプッシュされていた」と話す通り、ボディビルカテゴリーへの転向を決断。「優勝を目指すけど自分の成長を一番の指標にしたい」と意気込みながら、この日の準備を進めてきた。
ステージで目を引いたのは、恵まれたフレームの大きさに搭載された筋肉による存在感に加え、バックポーズをとったときのハムケツ(ハムストリングスとお尻)だ。まるでコンクリートブロックがくっついたように絞られたその尻は、日本選手権3連覇王者の相澤隼人を彷彿させるほど。ボディビル70kg超級では2位以下をほぼパーフェクトスコアで抑えての完勝、そのままオーバーオール優勝も達成した。
トランクスのため武器である尻が隠れるクラシックフィジークにおいてもオーバーオール優勝できたのは、上半身もぬかりなくつくり上げ、かつポージングも練度を向上させたことで、審美性の高さが評価された証左であろう。
「ポージングは中西勇介さんに見ていただき、コンディショニングの協力をいただいた鍼灸師の方、メンタル面も含めさまざまな形でサポートいただいたちびめがさん、トレーニングパートナー…もちろん両親を含め、いろいろな方の支えがあってこの身体をつくれたので、本当に皆さんに感謝しかありません。今年はこの大会で終わりのつもりだったのですが、この結果により世界選手権(11月後半にサウジアラビアで開催予定)への派遣対象になれたので、もし出場できるのなら挑戦したいです」
近年は若手世代の突き上げはすさまじく、昨年のジュニアボディビル王者の渡部史也はその勢いで日本選手権でファイナリスト入り寸前まで迫った。「今年はトップ12間違いなし」とされており、小本もそこに続いていきたいところ。
「ここで慢心せず、調子に乗らず、しっかりとやるべきことをやって、もっともっとレベルアップしていきたい。日本選手権ファイナリストという目標をブラさずに、これからも取り組んでいきたいと思います」