9月7日に千葉市民会館で行なわれた、JBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)主催の男子ボディビル及び女子フィジークの階級別日本一決定戦「第29回日本クラス別ボディビル選手権大会」。各階級で激戦が展開される中、この日、最高潮の盛り上がりを見せたのは75kg以下級であろう。
昨年のジュニア選手権でいきなり頭角を現した超新星・渡部史也、8月のジャパンオープンで優勝した大阪のダークホース・藤井貫太朗、昨年のジャパンオープンで優勝し日本選手権ファイナリスト入りをはたした江川裕二が上位を争ったこの階級。
渡部は猛スピードで成長を遂げ、球体の塊のような丸々とした筋肉が特徴。藤井は強烈なストリエーション(筋繊維)が走る臀部など、驚異的な絞りが特徴。江川はバキバキと血管が体中を走る異次元のコンディションが特徴。3人ともに日本トップレベルの驚異的な特徴を持っており、誰が頂点に立っても納得と言えるような激戦であった。
結果として、3位が江川、2位が渡辺、優勝が藤井という順位に。バルク派の渡部を、絞りの藤井が上回ったのは、ここ数年のJBBFのコンペティションにおける評価のトレンドを示していると言えるだろう。
3人の比較審査において、フロントポーズではやや渡部が勝っているようにも見えたが、バックポーズ、とりわけ“ハムケツ”と言われる臀部の仕上がりでは藤井が圧倒。彼が力を込めてポーズをとるたびに会場から自然と地響きのような歓声が上がっていたのは、この大会のハイライトであった。
とはいえ、10月の日本選手権ではこの両方を備えるような選手たちもゾロゾロと集まる魔境の戦い。日本クラス別から日本選手権までは約5週間の期間があるため、さらに完成度を高めてステージに立つものもいるはず。渡部と藤井に関しては、初のファイナリスト(上位12位)入りなるか。想像を絶する戦いは、10月12日、東京・江戸川総合文化センターが舞台だ。