9月13日-14日、岩手・盛岡市市民ホールにてJBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)主催、フィットネス競技の日本一決定戦「ALL JAPAN FITNESS CHAMPIONSHIPS」が開催された。初日に開催されたマスターズ各階級では、45歳~49歳160cm超級で長瀬陽子(48)が7連覇を達成、階級の枠を越えたオーバーオール審査でも2連覇をはたした。
表彰式で名前が呼ばれた瞬間。長瀬の目からは大粒の涙があふれた。それは昨年のIFBB世界フィットネス選手権で優勝を逃して以降、葛藤と向き合い続けた思いからだった。
「昨年はマスターズでオーバーオール優勝して、アーノルドクラシックでも優勝した後、世界選手権で敗北しました。自分のビキニのあり方に自信をなくし、呆然とする日々もありました」
そこで希望になったのが、世界選手権でメイクを担当し、それから自身のエステに来店するなど交流ができた、“脚男”こと佐藤茂男からの言葉だった。彼の競技論に勇気をもらった長瀬は、ふたたび世界一に向けて歩みを始めた。

「約30年競技を続けている佐藤選手の『ボディビルは長距離走。ゴールは引退の日。それまでは紆余曲折ドラマがある』という言葉はとても心に響きました。それから、ビキニ競技も長距離走だととらえて1年取り組みました。昨年優勝できなかったことは本当に幸せでした。もしそうでなければ、アーノルドと世界選手権で優勝して引退して『何でこんなに早く引退してしまったんだろう』と後悔していたと思います」
向き合い続けたのは精神面だけではない。「大腿四頭筋の張り出しが弱かったので、股関節の改善から取り組みました。トレーニングをハードにすることはもちろん、コンディショニングにもさらに力を入れました」と、肉体的にも進化した姿で栄冠を手にした。
「過去に2回、世界3位を獲っているので、次こそは優勝するために今後もトレーニングに励みます」
葛藤を越えたからこそ見えた景色は、彼女をひとまわり成長させた。大目標に向け、これからも長瀬の挑戦は続いていく。
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