“細くてフツーの女の子”がプロレスラーに パーソナルトレーニングはあこがれを現実にする手段【遠藤有栖#1】




いま東京女子プロレスでもっとも注目を集めている選手が遠藤有栖(えんどう・ありす)である。

女子プロレス版・夏の甲子園と呼ばれるシングル最強決定トーナメント『東京プリンセスカップ』において、優勝候補と目される強豪選手を立て続けに撃破し、堂々の決勝進出。後楽園ホールでおこなわれた決勝戦では、会場全体が「遠藤がんばれ!」という空気感に包まれた。惜しくも優勝は逃したものの、ピープルズチャンプならぬ「ピープルズプリンセス」として、その存在感を強くアピールした。

注目度急上昇中の遠藤有栖。福島県出身の27歳だ(写真/東京女子プロレス)

【フォト】トレーニングで培ったボディで闘う遠藤

東京女子プロレスには、さまざまなジャンルから参入してきた異色の存在が多いが、遠藤有栖もまた、ほとんどプロレスというものを知らないまま、リングに上がることを決意したひとりである。

いや、正確にはリングに上がった経験はあった。あの武藤敬司が主宰していたプロレス団体『WRESTLE-1』の公式サポーターを務めていたアイドルグループ『Cheer♡1』のメンバーに加入したことで、リング上で歌って踊るようになった。それでもプロレスに興味を抱くことはなかったが、グループの活動休止が決まり、これからの身の振り方を考えているときに、ある女子プロレスラーの存在を知る。

「当時、東京女子プロレスに参戦していた才木玲佳さんです。才木さんはもともと『Cheer♡1』のメンバーだったんですけど、ちょうど私と入れ替わりで卒業されてしまったので接点はなかったんですね。本当にたまたま試合の映像を見ることがあったんですけど、もうその瞬間に『やっべぇ! かっけー!』って。だからプロレスラーになりたいというより、才木玲佳さんみたいになりたいと思って東京女子プロレスに入門した感じです」

練習生として道場に通いトレーニングを積み、晴れてプロレスラーとしてデビューできたが、遠藤有栖はちょっと違和感をおぼえていた。

「最近、デビュー当時の写真を見る機会があったんですけど、本当に細くてフツーの女の子みたいなんですよ(笑)。私が思い描いていたプロレスラーの体とはまったく違うので、これは練習量が足りないんだ!と考えて、デビューしてすぐに道場での練習とは別にジムに通うようになったんです」

遠藤有栖があこがれた才木玲佳はプロレスラーとして闘う傍ら“筋肉タレント”としてもブレイク。女子プロレス界随一の筋肉美を誇っていた。たしかに受け身や基礎体力がメインのプロレス練習生としてのトレーニングでは、そこまでムキムキになることは難しい。彼女はあこがれを現実にするために現役プロレスラーにパーソナルトレーニングをお願いすることを決意した(9/16公開の#2に続く)。

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