優勝したけど「悔しいです」名門・日体大を背負う“なかやまこうき君”の学生ボディビルラストイヤーに懸けた煮えたぎる思い




かれこれ学生ボディビルを取材して7年目となり、大会後は基本的に各階級優勝者を中心に話を聞くようにしている。学生大会故に4年生が多くなることもあり、多くは喜びや安堵の言葉や表情を見せてくれるものだが、彼は「そうですね…。悔しいです」と一言。これほどまでに苦々しい表情を見せてくれた選手は、初めてかもしれない。

【フォト&ムービー】階級トップに輝いた與川巧起

9月13日に東京・ひの煉瓦ホール(日野市民会館)で開催された「第6回関東学生フィジーク選手権大会」にて、日本体育大学4年の與川巧起(よかわ・こうき)は176cm超級で見事に優勝。SNSでは“なかやまこうき君”と名乗りながら陽気な表情も時に見せている。2年生時には同階級2位にはなったもののこれまで優勝はなし、そのため今回はきっと悲願の初優勝だろう…と思って彼に声を掛けたのだが、上述の通りの様子であった。

「オーバーオールを獲る気しかなかったので悔しいです。去年のオールジャパン・ジュニア(※JBBF主催の23歳以下のフィットネス選手権大会)では、絞りが自分の中ではかなりいけていて階級6位、今年は2位まできて、絞りはさらに2段階くらい上がってきたと感じていました。なので、学生選手権ではオーバーオールも獲れるかなと思っていましたが負けてしまいましたね」

本人がそう話すように、3階級の王者によるオーバーオール戦は176cm以下級優勝の山田晃義(帝京大4年)の手に渡った。また、個人のみならず、団体の部でも日体大は東海大の後塵を拝して2位。與川は翌日の関東学生ボディビル選手権に出場して6位と奮闘したが、ここでも東海大に団体賞の座を空け渡してしまった。名門・日体大を背負う彼にとっては、悔しさしかない2日間だったといえるかもれない。

とはいえ、彼の戦いはここで終わるわけではない。
関東学生ボディビルへの出場に加え、1週間後にはJBBF主催の日本クラシックフィジーク選手権(兵庫県開催)にもエントリーしている。さらにその翌週9月28日には全日本学生ボディビル選手権大会があり、ボディビル、フィジークのダブルエントリーでステージに立つ見込みだ。

“連戦続き、きついですね”と問うと、彼は苦笑いしながらこう答えた。

「今のこの悔しい気持ちに比べれば、全然シンドくないですよ」

さらに大会3日後には自身のSNSも更新。

「フィジーク、ボディビル次は絶対団体優勝させる。まじでいける。絶対いける。俺が流れを作る」

このバチバチな感じこそ、学生ボディビルの醍醐味。学生最後の追い込みをかけ、自身最高のボディを披露するであろう與川巧起に乞うご期待。

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