9月13日に行なわれた「第6回関東学生フィジーク選手権大会」の170cm以下級で優勝したのは山田雄里杏(やまだ・ゆうりあん/東海大4年)。これで2023年大会から階級3連覇となった
一方で、後出しじゃんけんのようなことを言うと、過去2年と比べると彼のステージングにはやや違和感を感じていた。優勝に値するボディとポージングを備えているのは間違いないが何かが違う…。その答えは、大会後に彼が教えてくれた。
「実は今年、ボディビルに出ることをメインにトレーニングしてきたんです」
なるほど。確かに初出場の2年生時から全体的なバルキーさは際立っており、見せ方も心得ていた。ただ、今回も含めて3年連続でオーバーオール審査では勝つことができなかったように、近年のメンズフィジークで評価されやすいトレンドと照らし合わせると、やや物足りなさが垣間見えていた。
違和感の正体はボディビルのオーラ。大会出場こそこの翌日の関東学生ボディビル選手権が初めてとなるが、すでに1年間準備してきたものが漏れ出ていたのかもしれない。
「去年と比べて、弱点だった腕や肩は成長できたのではないかと思います。ただ、ボディビルで戦うにはまだ特段サイズがあるわけではないので、筋肉のバランスや美しさで勝負できればなと思っています」
フィジーク終了後にそう話していた山田だが、翌日のボディビルのステージでは今まで抑えられてきた何かから解き放たれるように、自信満々にポーズを決めていた。結果は準優勝。さらに背中の部分賞とベストポーザー賞も獲得。堂々のデビュー戦となった。
ボディビルのベーシックなポーズであるフロントダブルバイセップスをとるときには、近年、筋肉の美しさで勝負する選手たちのトレンドとも言える腹部をヘコませる形で決め、それまでサーフパンツで隠されてきた大腿四頭筋のカットや外側広筋の張り出しも高レベル。クラシックさを備えるボディを披露しており、部の先輩でありJBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)主催大会で実績を残す川中健介の姿を想起させてくれた。
彼が両カテゴリーで上位入賞を果たしたこともあり、東海大学はフィジーク、ボディビルの両方で団体優勝も達成。主将として、物理的にも精神的にも広い背中で部を牽引した。
「年々レベルが上がり続けていく学生大会の中で、両カテゴリーで成績を残せたのは素直に嬉しいです。仕上がりが少し緩かったので、全日本に向けてもう一段階絞ってベストな状態で臨みたいと思います!!!」とSNSに綴った山田。
9月28日の全日本学生選手権でも、東海大に初の両カテゴリー団体優勝の座をもたらすべく歩みを進めていく。