「キレがあると言われるようになった。30歳の今がピーク」バトン仕込みの美技と速さで魅せるスピードスター【なつぽい#3】




2015年にプロレスデビューをはたし、デビュー日と同日の今年5月31日に10周年記念興行を大成功させたのが、スターダムのなつぽいだ。ユニット『COSMIC ANGELS』に所属し、“世界最速の妖精”とも呼ばれる彼女の体つくりの秘密に迫るインタビュー、全3回の最終回は、プロレスラーとしての基礎を作った練習、そして食事のお話を。

30歳になった今を語ったなつぽい(写真/橋場了吾)

【写真】“世界最速の妖精”なつぽいの試合ショット&決めフォト

5年前はこれ以上成長しようがないと勝手に思い込んでいた

なつぽいは30歳になった直後の9月8日に、初のフォトエッセイ『29/30』を上梓。その中にも体づくりのことが書かれている。

「体力のピークは、見せ方によって違うのかなと思うんですけど、活力という意味では毎年更新して今がピークのような気がしています。5年前にスターダムに来たばかりのときは、当時の自分が一番動けますし、これ以上成長しようがないって勝手に思っていたんですよ。打ち止めみたいな状態だったんですけど、いろいろな気づきがあって成長して、今の方が“キレ”があると言われるようになったんですよね。私は金原(弘光)さんのパーソナルトレーニングがメインの練習なんですけど、金原さんの指導に合わせて言われるがままやっています。筋トレももちろんですが、床に十字架のようにシールを貼ってジャンプサーキットをすることもあるので、器具を使わないトレーニングもしています。じつは、以前はトレーニングのことについて(SNSも含めて)書くことって、ちょっと違うかなと思っていた時期があったんです。たとえば、アーティストがボイストレーニングのシーンってほとんど載せないと思うんですよね。ライブで素晴らしいものを見せるのがプロ、だと思いますし。でも、考え方が変わってそんなにこだわりなく自然体で行こうと思うようになりました」

Sareeeと一緒に練習した日々があるから、今の自分がある

フェアリアル・ギフトで多くの勝利を奪ってきた(©スターダム)

なつぽいがプロレスラーとしてデビューしてすぐ、アクトレスガールズに在籍しながら伊藤道場に出稽古に行っていた。そこで出会ったのが今でも親友として仲良しのSareeeなわけだが、伊藤薫という元全日本女子プロレスの選手がいる道場の練習は非常に厳しいものだった。

「プロレスの基礎を教えてもらったのは伊藤さんです。いわゆる“全女式”なので、当時あった道場の中でも、一番きついトレーニングをしていると言われていた時期です。炎天下の中、外でトレーニングもしていましたし。そもそも、リングに上がるまでに2時間かかるんです(笑)。まず河川敷まで走りに行って、何分以内の戻って来いと。帰ってきてちょっと水を飲んだらすぐに縄跳びです。ずっと何かしらのサーキットをすることもありますし、天気がいいときには河川敷ダッシュです…。リングに上がってからも、うさぎ跳びをしたりして1時間が経過してから、ようやく受け身の練習ですよ。ロープワークと受け身の練習は今は1分半なんですが、当時は3分で。Sareeeはさらっとやっていて、私は1分半で唇真っ白です。でもSareeeと一緒に3分できるようになって、今があるという感じです」

なつぽいに食生活について聞いてみた。体づくりのために、気をつけている点はどのようなことなのだろうか。

「一時期、体つくりのために断食したことがありました。そのときに結構体が変わって、食生活も自然と変わりましたね。たとえば、ステーキを食べるときには脂身は取るようにしたり、ケーキも好きなんですけど量を減らしたり。あとはデトックスが好きで、天然のハーブティーやアルギニンを試合前に飲むことも多いですね。朝ごはんは自炊です。前は朝ごはんをほとんど食べなかったんですが、お味噌汁と卵焼きは絶対につくるようになりました。メニューはそんなに変わらないんですけどね」

30代を迎えてなおベストを更新する“世界最速の妖精”は、今日も妥協なく己を磨き続ける。

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