バレエでついた筋肉がプロレスに活きている【荒井優希インタビュー#2】




2021年5月に本格的なプロレスデビューをはたし、今や東京女子プロレスには欠かせない存在となった“ジーニアス・ガール”こと荒井優希。SKE48の中心メンバーとして長らく活躍、今年3月いっぱいでアイドル活動を卒業しプロレスラーとしての道を選択した。そんな荒井に体づくりの秘密を聞くインタビュー全3回の第2回は、荒井がよく褒められるという脊柱起立筋、そしてフィニッシャー・Finallyにまつわるお話を(取材・橋場了吾)。

プロレスでもバレエの経験が活きているという荒井優希(写真/橋場了吾)

【写真】荒井のアザーショット集

脊柱起立筋を昔から褒められていたが、背中の筋肉だけでプロレスをしていた

2017年、荒井優希はAKB48グループが出演したドラマ『豆腐プロレス』でプロレスラー役を演じた。そのタイミングではプロレスラーになる気はなかったというが、2021年5月にプロレスデビューをはたし、アイドルとの二刀流レスラーとなった。

「プロレスデビューすることになって、名古屋でジムに行くようになりました。パーソナルは東京に来てからですね。名古屋ではランニングはもちろん、東京で教えてもらったことを実践していました。プロレスの練習は道場でたくさんしましたね。豆腐(プロレス)のときに、ロープワークやマット運動でしっかりと基礎を教わっていたので、本格的に練習を始めたときも大きな戸惑いもなく始められました。でも、できないこともたくさんありますよ(笑)。デビュー戦は、ただがむしゃらに試合をした感じでした」

荒井はデビューした2021年の東京スポーツ新聞社制定「2021年度プロレス大賞」で新人賞を受賞し、赤井沙希さんとのタッグでプリンセス・タッグ王座を獲得。そして今年3月末でSKE48を卒業し、プロレスラーとして生きていく覚悟を決めた。

「デビュー前はコロナ禍ということもあって太っていた時期ですね。今と体重はあまり変わらないんですけど、ライブも全然できないときだったので。それをデビューまでに絞ったんですが、急にランニングをして体がびっくりしていました(笑)。じつは初代以外のコスチュームはSKE48のチームが作っているんですが、やっぱり私の体型を理解してくれているので、一番綺麗に見せてくれるのかなと思います。私、脊柱起立筋を昔から褒められるんですよ(笑)。トレーナーの方も、先輩からも『背中の筋肉凄いね』って。逆に、背中の筋肉だけでプロレスの試合をしていると言われるくらいで。この筋肉はバレエ時代についた筋肉なので、バレエをやっていた意味はあったなと思います」

いつの間にか、プロレスラーになるための体ができていた荒井だが、親には黙っていた。

「親もびっくりですよね。じつはプロレスラーになることは言っていなくて、ニュースが出てばれるという。今思うと、言っておいた方がよかったかなと思います」

バレエの足上げレッスンが生きたフィニッシャー・Finally

荒井のフィニッシャー・Finally(©東京女子プロレス)

荒井優希のプロレスにおける最上級フィニッシャーはFinallyだ。いわゆるかかと落としのように見えるが、かかとを含め足の裏全体で相手の頭頂部を打ち抜く。バレエで培った足上げが活きた、破壊力抜群の技だ。

「豆腐プロレスのときは技が全然できなかったんですが、他の子はいろいろな技ができるようになっているんですよ。実は基礎練習はしっかりやっていたんですが、自動車講習の期限が迫ってしまって、技の練習にはなかなか行けなくて(苦笑)。そのときに『そういえば、足高く上がるよね』ということでできたのがFinallyなんです。(かかとではなく足の裏を叩きつけるのは)無意識で、豆腐プロレスのときは(今のように片足立ちの相手ではなく)普通に立っている相手にやっていたんですよ。足首が柔らかいのも、バレエのおかげですね」

そしてサソリ固めも得意技で、ギブアップ勝ちすることもある。サソリ固めというと、重心の低い男子選手が使用するイメージだが、足が長い荒井がセレクトしたのは興味深い。

「サソリ固めは、先輩方から使ってみたら?と言われて始めました。荒井に似合うのではと。勝ちにもつながる技ですけど、かけている方もけっこうきつくて。(筆者「足が長いから?」)それはわからないんですけど(笑)、下で動かれるときついですね」(#3へ続く)

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