9月28日(日)に東京・福生市民会館にて行なわれた「第59回全日本学生ボディビル選手権大会」で優勝したのは、名城大学3年の久野清照(くの・きよてる)。これまで関東と関西が争奪戦を繰り広げてきた王者の座を、久々に中部地区に持ち帰った。
【フォト&ムービー】場内が大きく湧いたモストマスキュラーバトル
学生ボディビル界において名城大学は決して有名とは言えない。バーベルトレーニング部自体は約30人前後の部員が所属しているとのことだが、その多くはパワーリフティングに取り組んでおり、ボディビル競技に取り組んでいるのはわずかだ。
その中で、昨年、突如現れて4位入賞を果たした久野。聞けば、ボディビル自体も始めたばかりだったという。
「それまでずっとただの趣味としてトレーニングをやってきました。中学のときは陸上部でしたが、高校は運動部でもなく。ただ、身体がどんどん衰えていくような感じが嫌で筋トレに力を入れ始めました。大会に出るからには予選落ちとかはしたくなかったので、1年生の間は成長期間にあてて、2年生になるときに部に加入してボディビルもはじめました」
特に誰かに教わったわけでもなく、ひたすら続けてきたトレーニング。ストリエーションが走る鋭い筋肉の仕上がりは良く、バルク量もこの年代の選手としては十分。粗削りな感じは否めないが、むしろそれは彼のストロングポイントでもある。審査員長の臼井オサム氏も「近年はレベルが上がり、特に関東の大学の選手は“きれいな”筋肉が増えた。その中で久野選手は“荒々しさ”が特徴的だった」と評している。
中でも、全身に力を込めるマスキュラーポーズの出来は圧巻の一言。パーツ毎「部分賞」において「胸」の受賞のみならず、「モストマスキュラー」も受賞したのは誰もが納得であろう。これでまだ3年生。まだまだ筋肉量の成長の余地があるだろうし、それをしっかりと見せるポージング技術もノビシロ十分だ。
「今年は、学生で優勝すると決めてやってきたので、それが形になって良かったです。夏のジュニア選手権で知り合った先輩の方々にポージングなどを教えてもらったことで、ここに向けてかなり改善できたと思いますし、優勝できたのはその方たちのお蔭だと思っています。審査委員長から“荒々しさ”を褒めていただきましたが、来年は誰が見ても受け入れてもらえるというか、誰も寄せ付けない身体をつくって優勝します」