10月18日-19日、世界最大規模のフルコンタクト空手団体・新極真会が主催する「第57回全日本空手道選手権大会」が東京体育館で開催される。今大会は体重無差別級で優勝を競う、真の日本一決定戦だ。

そんな大舞台にゼッケンナンバー1をつけて挑むのが岡田侑己(おかだ・ゆうき)選手。昨年7月には優勝賞金1000万円が懸かったプレミアムトーナメント「第1回空手Champion of Champions(KCC)」に挑み、国内・世界の猛者を退けて初代王者となった。180cm、90kgの体格に似つかわしくない華麗な回転蹴りや、軽やかなフットワークを持ち味としている。

普段は大阪府泉佐野市の市役所で係長を務める岡田選手、しっかりと仕事をこなしつつ稽古時間を確保している。とはいえ、両立を成功させるまでには葛藤もあったようだ。
「昨年5月の大会(第9回JFKO全日本大会)の前は十分な稽古時間が確保できず、たとえ1日5分でもできる稽古をすればよかったと後悔が残りました」
この大会で準々決勝敗退を喫した岡田選手はスケジュールの改善に着手。稽古時間を捻出することができたが、そこで新たな問題が発生した。繁忙期に残業が増える中、稽古を組み込むと疲労が蓄積してしまったのだ。過去には大会前の追い込みでケガをしたこともあったため、ケアの大切さをあらためて見直した。
「週に1日は意識してオフを取るようにすると、稽古への集中力が格段に上がりました。疲労が取れて仕事の効率も高まったので、プラスになったと感じています。『時間を無駄にしない』というのは、スキマ時間の活用もそうですが、稽古や仕事の質を上げることも大事だと実感しました」
全日本大会に向けた稽古では、“一撃必殺の威力”を磨くべく、脚力や体幹の強化を重点的に行なってきた。道場で指導も担当し、濃密な日々を送る岡田選手にとって、計画的な休養はパフォーマンスアップの一助となったようだ。
「ここまでの思いや積み上げた稽古をすべて力にして、優勝を目指して闘い抜きたいと思います」
心技体ともに充実した状態で臨む全日本大会。今大会の男子は前回王者の多田成慶(ただ・なりよし)選手が不在となっており、誰が勝っても初優勝という群雄割拠の様相を呈している。激戦の行方から目が離せない。