10月18日~19日の2日間にわたり、世界最大規模のフルコンタクト空手団体・新極真会が主催する「第57回全日本空手道選手権大会」が東京体育館で開催された。
本大会は半世紀以上にわたって開催されてきた伝統の闘いであり、体重無差別で頂点を決する組手部門に加え、昨年からは型部門も導入され熱戦となっている。ここでは、今大会決勝戦の模様をダイジェストでお届けする。
【組手部門・男子】

男子は誰が勝っても初優勝という大混戦。そんな中で決勝に進出したのは、今年5月31日-6月1日に開催された体重別世界大会を制した渡辺和志選手と、身長193cmを誇り、怪物的な強さを見せたカザフスタンの超新星、アンジェイ・キンザースキー選手だ。試合開始早々、渡辺選手が密着して接近戦を挑むも、キンザースキー選手が放った上段ヒザ蹴りがクリーンヒット。本戦42秒で衝撃の一本決着となった。全日本大会は第1回大会から半世紀以上にわたって日本人選手が優勝してきたが、今大会で初めて外国人王者が誕生した。
キンザースキー選手は決勝後のインタビューで「優勝できたことをうれしく思います。一緒に稽古してきた先生方、道場生の方々に感謝でいっぱいです」と語り、少年のような無邪気な笑顔をのぞかせた。
【組手部門・女子】
女子決勝で顔を合わせたのは、大会3連覇がかかる絶対女王・鈴木未紘選手と、前回大会3位の藤原桃萌選手。昨年だけで3度対戦している両者の勝負は、序盤からコート中央での打ち合いになる。力と力のぶつかり合いを制した鈴木選手が本戦4-0で勝利を手繰り寄せ、全日本大会3連覇の偉業を達成した。
試合後には「今大会もたくさんの方々に支えていただき、優勝することができたので感謝の気持ちでいっぱいです。世界大会連覇に向けてしっかりとがんばっていきたいと思います」と力強く語った鈴木選手。今大会での優勝によって8大会連続優勝となり、2022年12月から続く無敗記録を更新した。女王の快進撃はどこまで続くのだろうか。
【型部門・男子】
型部門は男女ともに初代王者が不在。空位となった王座をめぐる闘いが繰り広げられた。型・男子の決勝では、互いに新極真会和歌山支部で稽古に励む中内功大選手(前年準優勝)と角野将太選手(前年3位)が対戦。互いに力強さやキレを備えた五十四歩を披露した好勝負は、3-2の判定で後輩・角野選手に軍配が上がった。
試合後には「ずっと背中を追い続けた中内先輩と初めて対戦できたので、楽しんで悔いのない試合をやろうと思いました。昨年の敗戦をバネにもう一度自分の型を見直して、丁寧さやキレなどレベルアップを目指してがんばってきました。これからも精進してがんばりたいと思います」と万感の思いを語った角野選手。今後の活躍にも注目だ。
【型部門・女子】
型・女子では前年3位であり世界大会でも結果を残している山中咲和選手と、年代別全国大会王者・星芽里選手が対峙した。渾身の五十四歩で覇を競った対決は、判定3-2で星選手が勝利を飾った。星選手は前回大会のベスト8から飛躍し、全日本の頂点をつかみ取った。
18歳にして快挙を達成した彼女は優勝インタビューで、「去年の全日本大会では結果が出なかったので、今回結果につながって本当にうれしく思います」と笑顔を見せた。
全部門の入賞者は下記の通り
■組手・男子

優 勝 アンジェイ・キンザースキー(カザフスタン支部)
準優勝 渡辺和志(世田谷・杉並支部)
第3位 渡辺優作(世田谷・杉並支部)
第4位 岡田侑己(和歌山支部)
第5位 遠田竜司(東京江戸川支部)
第6位 金岡陽大(川崎東湘南支部)
第7位 塚本慶次郎(世田谷・杉並支部)
第8位 多田大祐(白蓮会館)
敢闘賞 後藤光之介(東京城南川崎支部)
技能賞 アンジェイ・キンザースキー(カザフスタン支部)
■組手・女子

優 勝 鈴木未紘(厚木・赤羽支部)
準優勝 藤原桃萌(福岡支部)
第3位 目代結菜(東京城南川崎支部)
第4位 網川来夢(福岡支部)
敢闘賞 細谷 誉(埼玉大宮西支部)
技能賞 宇都宮美咲(大阪神戸湾岸支部)
■型・男子

優 勝 角野将太(和歌山支部)
準優勝 中内功大(和歌山支部)
第3位 志村朱々璃(総本部道場)
第3位 山崎一平(熊本中央支部)
■型・女子

優 勝 星 芽里(東京豊島支部)
準優勝 山中咲和(高知支部)
第3位 細谷希花(埼玉大宮西支部)
第3位 谷口亜翠佳(東京ベイ港支部)




