“闘う腎移植ドナー”の体調管理、塩分量・カロリー・筋量までケア「私が健康体になったのはプロレスのおかげ」




深夜のラジオ番組のパーソナリティが、心の拠り所というラジオのリスナーは少なくないだろう。その一人、春日萌花が9月いっぱいで10年半続けてきたレギュラー番組を卒業した。じつは彼女、プロレスラーでもあり気象予報士の資格を持っている。さらにいうと、実姉に腎臓を提供した腎移植ドナーでもある。その春日の体調管理について聞くインタビュー第2回は、実姉の腎移植ドナーになったお話を。

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体の弱かった私が健康体になったのはプロレスのおかげ

実姉のドナーになった春日萌花(写真/橋場了吾)

2023年9月、春日萌花は腎移植のドナーとなった。移植先は、実の姉だった。

「結構不規則な生活をしていた割に、健康状態は良かったんです。移植の準備は2022年から始めたんですが、週末はほぼ寝られない深夜のラジオ番組をやって、プロレスの試合もしてという生活の中、正直なところ食生活にも全く気を遣っていませんでした。

たくさん食べても太りにくい体質で、以前に女子プロレスラーが体をバキバキにした写真集に掲載されたこともあるんですが、そのときも他のレスラーは減量をしたり炭水化物を抜いたりして脂肪を削っているのに、私は例外でなんでも好きなだけ食べていたという(笑)。ひたすら食べて、トレーニングして大きくして、最後の最後だけ水抜きしたくらいでしたね。

姉からは移植については2018年の秋から相談はされていて、今の数値のままだったら移植は必要ないけど数値が落ちたときは移植が必要になるかも、という話でした。それが2022年に数値が悪くなって、準備を始めたときには私は異常が何もなくて移植することになりました。ただ、レスラー生活のリミットが近づいたかなとは思いましたね。さすがに移植後はプロレスをできないだろうと思ったので」

春日の健康体の秘密は?……今振り返ってみると、という形で答えてくれた。

「お酒は控えめ、たばこも吸わない。それらは良かったポイントだとは思いますけど、月一の食べ放題は欠かせなかったんです(笑)。本当に好きなものを好きなだけ食べて、プロレスの練習ですごく体を動かしていたのが良かったのかなと。じつは子供のころは体が弱くて休んでばかりで、肝心なときに風邪をひいてしまう子どもでした。喘息の気もありましたし。だからこそ、プロレスに『ありがとう』と思いましたね」

塩分量、カロリー、筋肉のつけ方…腎移植手術後の体調管理の方法

腎臓移植の手術跡は隠さない(©ガンバレ☆プロレス)

春日は2024年7月にプロレスに復帰し、ガンバレ☆プロレス所属選手としてリングに上がっている。リミットがあると思っていたレスラー生活だったが、今も元気にリングで戦う春日がいる。そして10年半続いたラジオについても、今もなお反響がある。

「体力的にはだいぶ戻ってきました。ただ移植前は深夜の生放送を朝までやって、3~4時間しか寝ないで試合会場に向かう生活をしていたんですが、なかなか起きられなくなってきましたね。その部分はガンバレ☆プロレスや参戦させてもらっている団体とも話をして、少し入り時間を遅くしてもらったりして融通を利かせてもらっていました。

体にメスを入れたのも腎移植が初めてだったんですが、睡眠をしっかりとらないと疲れやすくなったとは思いますね。体も前より思うように動かないこともありますけど、私自身でモチベーションを保つというよりは、応援してくださっている皆さんが挙げてくれましたね。結果がなかなか伴わないときでも、変わらず応援してくださったファンの方がいたおかげです。

これはラジオも一緒で、番組は9月いっぱいで終わったのに未だに反響があったり、ハッシュタグが動いていたり。私の番組をまた聴きたいと書き込んでくださる方もいますし、土曜の深夜に『魔法が解けた』祭りが今も続いていますし(笑)。応援してくださる方のおかげで、居場所を作ってもらっています」

プロレスの練習内容は、術前も術後もほとんど変わっていないという。

「手術後、少し経ってからですけど割とすぐに本格的な練習がスタートできたんです。最初の3か月はマット運動中心でしたけど、その後は慣らし運転からスタートしました。替わったことといえば、少しだけ食生活は見直しましたね。月1の食べ放題を年2回にしました(笑)。あとは腎臓に過度な負担をかけないよう、塩分量も気にするようにしています。腎提供すると相対的に太りやすくなると聞いたので、太らないように意識はするようになりました。糖尿病になると腎臓を失うリスクが高いとのことで、生活習慣病にならないように塩分量やカロリーは気にしています」

そう、春日の体内には腎臓が1個しかない。とはいえ、姉のために移植を即決したことには後悔はしていない。その1個の腎臓とどう付き合うかが、大切になってくる。

「腎臓は『なまけものの臓器』と言われているらしく、腎臓が2個あるときはそれぞれ50%しかがんばってくれないそうです。それで1個取ると、残りの1個が70%までがんばってくれる。どんなにがんばっても100%まで行かないので、今は70%の腎臓で私ががんばっている感じですね。疲れやすい、眠くなりやすい、あと細かいことでいうとタンパク質を採りすぎないようにする。さらに、筋肉量を過剰に増やすと逆に腎臓の数値が悪くなってしまうとも聞いているので調整しています。あと成分的に飲めない薬もあって、痛み止めでも飲めるものと飲めないものがあるので気を付けるようにしていますね」

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