「どれだけ忙しくてもひとりの時間をつくる」“絶対不屈彼女”・安納サオリが10年間プロレスを継続できた理由




今年4月に引退した“女子プロレス界の横綱”里村明衣子が「現在の女子プロレス界の象徴」と称した選手、それがスターダムの安納サオリだ。安納は「休みはいらない」と宣言し、スターダム以外にもOZアカデミーにも参戦、とんでもない試合数をこなしている。その安納、ここ最近は大きなケガもなくデビュー10周年イヤーを迎えたわけだが、体つくりの秘密に迫るインタビュー全3回の最終回はスターダムに本格参戦をスタートしてからのお話を。

一人で過ごす時間を大切にしているという安納サオリ(写真/橋場了吾)

【写真】デビュー10周年を迎えた安納サオリのアザーフォト

どれだけ忙しくても、ゆっくり一人で過ごす時間を作る

安納サオリは2023年からスターダムに本格参戦し、一気に試合数が増えた。受け身の回数が増えたため、体へのダメージの蓄積も大きくなっていく。

「体のメンテナンスは週1日行きます。やっぱり一回リセットしないと、ずっと(ダメージや痛みが)積もっていく状態になってしまうので。一回ゼロにして、また一週間かけて試合して…これもルーティンですかね。地方遠征ではサウナやマッサージにも行きますし、ゆっくり一人で過ごす時間を作るようにしています。移動自体は好きなんですよ。

やっぱり以前は新幹線や飛行機移動へのあこがれがあったので、乗れるのがうれしいんですよね。早起きはしんどいので(笑)、(時間的に)大変なこともありますけど、その自分の今の多忙さもうれしく感じています。どれだけ忙しくても、自分の時間はちゃんと作るようにしていて、ゲームをしたり、掃除をしたり、一人の空間を大事にしています。あえてプロレスのことも考えないようにしていますね」

12月29日、スターダムの両国国技館大会のメインイベント。安納は上谷沙弥の持つワールド・オブ・スターダム王座に挑戦する。上谷といえば、今年大ブレイクをはたした選手だけに、1年間の集大成として有終の美を飾るつもりで試合に臨んでくるだろう。そのようなビッグマッチに対して、安納はどういう姿勢で臨むのか。

「体つくりは変わらずいつも通りですかね。メンタルの部分は、できる限り余計なことを入れないようにはします。ちょっとしたストレスだったり、自分の機嫌を少しでも良いように保ったり。一人の時間をいつもより増やして、実家(滋賀県)にも帰らないようにしています。実家に帰ってしまうと、気が緩んでしまうので……親も帰って来るなというんですよ、タイトルマッチ前は。(親は)私の実家での過ごし方を見ていますからね(笑)」

盟友なつぽいとは一緒に10周年興行を主催した(©スターダム)

自分のいいところを見つけてもらえるように一生懸命試合をする

「安納サオリのプロレスって、ほかのレスラーとどう違うと思いますか?」と問いかけると「逆にどう思いますか?」との答え。私が「女性らしい柔軟性で魅せるレスラー」と答えると…。

「私は見てくださる方に(自分の魅力を)決めていただくのがすごくうれしいんです。私のいいところを見つけてもらいたいという気持ちで試合をしているので、柔軟性の話もそうなのかなと思いますし、ほかの方の違う意見もあると思いますし。なので、自分のいいところを見つけてもらえるような試合をずっとしていきたいなと思います。見る方の感じ方によって思うままの安納サオリでありたいので、一生懸命試合をしていきます」

安納サオリのプロレスデビュー10周年イヤーとなった2025年は、5月に同じく10周年を迎えた盟友なつぽいとの自主興行があった。そして、12月29日には両国国技館でスターダムの最高峰ベルトを持つ上谷沙弥への挑戦も控えている。さらには、来年2月20日に地元・滋賀県での凱旋興行が決定したばかり。“絶対不屈彼女”と呼ばれる安納は、これからも自分の体と向き合いながら、無事是名馬を実践していくはずだ。

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