管理栄養士の山田賢児さんが、食にまつわる疑問を解決する本連載。今回は栄養豊富な野菜とフルーツでは、どちらが風邪予防に効果的か?という点について。

どちらも必要不可欠であり、両方足りていないことがほとんど
風邪予防にはフルーツか野菜か――。忙しくて栄養が不足しがちな日常では、ある程度アプロ―チを絞って、食事を改善したい気持ちもよくわかります。
実際、多忙なジムのクライアントからも「つい食事をおにぎりやサンドイッチで済ませてしまいます。プラスするならどちらがいいですか?」と質問を受けることがあります。
こういった時、私は最初に「どちらも必要です。ただし完璧を目指す必要はありません」と結論をお伝えしています。というのも、免疫力はビタミンCの摂取量だけではなく、食生活全体のバランスと、日々の生活習慣の積み重ねで決まるからです。
もちろん、野菜には免疫に関わるビタミン・ミネラルや食物繊維が豊富で、フルーツには抗酸化成分が多いなど、好影響はたくさんあります。ただ、フルーツVS野菜の二択で論争する前に、日本人はそもそも「どちらも足りていない」 のが現状なのです。
「健康日本21」(厚生労働省)では、野菜1日350g以上、フルーツ1日200gの摂取が推奨されています。一方、国民健康・栄養調査を見ると、実際の平均摂取量は野菜約280g前後、フルーツ100g未満とどちらも目標に届いていません。
ビタミンCと風邪の関係については世界的に多く研究されていますが、一般の人にとって、「ビタミンCを多く摂れば風邪を完全に予防できる」というのは言い過ぎです。不足した状態を改善すると免疫機能が落ちにくくなる、という言い方が正しいように思います。
つまり本質は、「どちらが効くか」ではなく「どちらも足りていないから、生活の中でどう補うか」にあると考えます。
先ほど紹介したように、「野菜もフルーツも毎食は無理です」と相談されることは珍しくありません。たしかに経済的にも、毎食フルセットを揃えるのは簡単ではないでしょう。
私は、そういったクライアントに罪悪感を持つ必要はないと伝えています。現代の生活では、野菜もフルーツも不足する構造になっているからです。大切なのは完璧を目指すのではなく、“今日できる一歩”を積み重ねることです。
野菜とフルーツを無理なく摂取するコツ
では、無理なくこれらを摂るにはどうしたらいいのか。
たとえば、朝にフルーツ、昼はサラダ、夜は具がたくさん入った味噌汁など、分散して摂取すればトータルで栄養価を上げることができます。むしろ分散させることで、水溶性ビタミンなどが体内に残りやすくなるでしょう。
その他にもおすすめしている方法が多々あります。
まずは、フルーツであれば高価なものより“続けられるもの”を選ぶこと。バナナ、みかん、冷凍ベリーなど、あなたにとって手頃なものを選ぶことから始めましょう。「好きで食べ続けられること」が継続への近道です。
続いて、野菜は“火を通す“こと。生野菜350gを食べるのは大変ですが、加熱すればかさが小さくなり、簡単に摂取できます。味噌汁・鍋・炒め物は、普段少食という方でも実践しやすい方法です。
コンビニのおにぎりに“ちょい足し”することも効果的です。カットフルーツ、ミニトマト、トマトジュースなど、これだけでも足さないよりは圧倒的にいいです。
また、体調を崩しやすい人ほど、“フルーツと野菜だけに偏らない“ようにしましょう。両方を少量ずつでも食べるのが理想ですが、マルチビタミンのサプリメントで補うことも考えるといいです。必須栄養素であるビタミン類の1日推奨量を摂取することで、何かしら体調の変化を感じたというクライアントが多いです。
私は10年以上、多くの人の体づくりをサポートしながら、ある確信を持つようになりました。それは「口にしたもので自分自身(細胞)がつくられる」ということです。だからこそ、今日のひと口が、未来の体調・気力・免疫力をつくります。
完璧でなくて大丈夫です。小さな選択が積み重なれば、必ず体は応えてくれます。無理のない範囲で、元気でいられる食習慣をつくっていきましょう!
【参考文献】
厚生労働省『健康日本21』
厚生労働省『国民健康・栄養調査』
文部科学省『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』
