ダイエットが難しくリバウンドが起こりやすいのは、脳には自分の適正体重がインプットされているから?【筋肉博士の最終講義】




まず、体の中の脂肪の量をコントロールする仕組みがあることは、以前からわかっています。

脂肪は体にとって重要なエネルギー源ですが、増えすぎてしまうとマイナス面も出てくるので、適切な量で保たれるようになっているのです。その仕組みを「リポスタット」と言います。「リポ」は脂肪を表わす接頭語で、「スタット」は一定にする装置という意味です。

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脂肪細胞の中に中性脂肪が蓄えられてくると、脂肪細胞から「レプチン」という生理活性物質(アディポサイトカイン)が分泌されます。これがホルモンのように血流に乗って脳の視床下部に作用すると、摂食中枢を刺激して食欲を下げる働きをします。そうすることで食べる量を減らし、エネルギーの摂取にストップをかけるのです。

レプチンは同時に交感神経を活性化させ、体をアクティブにします。体をたくさん動かすようにすることで、熱の産生を促し、心拍数を上げ、体全体のエネルギー代謝を高めるのです。食欲が下がっている状態でエネルギー消費が上がるので、結果として脂肪が減るという反応が起こります。そして脂肪が減ってくるとレプチンの分泌が止まり、今度は食欲が上がるようになるわけです。

動物実験では、レプチンの遺伝子を壊して働かなくさせると、極度の肥満になってしまうという結果も出ています。

このような仕組みによって、体重が極端に増えすぎないようにコントロールされていることは確かでしょう。1回ごとの反応は脂肪から分泌される物質に脳が応じる形となっていますが、そのシステム全体が脳にインプットされたものである、といっても間違いではないと考えられます。

ただ、初期段階でどの程度の脂肪や体重が「適正」とされているかは、よくわかっていません。もしかするとリポスタットのセットポイントには生まれつきの個人差があり、太り気味、あるいは痩せ気味で設定されているのかもしませんし、生活習慣や年齢などによって設定がシフトされるのかもしれません。そして、それらが個々の太りやすさに関連している可能性もあると言えるでしょう。

※当記事は、書籍『石井直方 最終講義 筋肉まるわかり大事典』(ベースボール・マガジン社/2025年12月発売)からピックアップした内容をWeb用に再構成したものです。