走り続けて40年近く 世界を知るレジェンドライダー・黒山健一、最前線に立ち続ける体づくりの原動力




日本人が世界で勝つことが難しいとされるトライアル競技。その舞台で、日本人として初めて世界選手権優勝をはたし、国内外で数々の記録を打ち立ててきたのが黒山健一さんだ。

トライアルは、岩や丸太などの障害物を舞台に、足をつかずに走破する技術を競うモーターサイクル競技。スピードではなく、バランスと精度が勝敗を分ける。高いバランス能力や持久力など、フィジカル面の強さも欠かせない。

40年近く走り続けている黒山さんは、パフォーマーとしても活躍しており、Japan Mobility Show(2025年10月30日~11月9日)のYAMAHAのブースにも登場。音楽とバイクパフォーマンスが融合したステージで観客を沸かせた。

今回はそんな黒山さんに、パフォーマンスに込めた思いや長年続けてきた体づくり、競技と向き合い続ける原動力について語ってもらった。

黒山健一さん(写真/シュー・ハヤシ)

【写真】音楽とモータースポーツが融合したパフォーマンス

――今回、YAMAHAのブースでパフォーマンスをするにあたり、どんな点を意識しましたか?

「バイクの楽しさ、面白さを伝えることですね。僕は長くトライアルをやっているのですが、パフォーマンスでその経験を活かすことができていたらうれしいです。ステージという狭い空間でバイクを走らせられる楽しさや面白さ、そして技術を、お客さんに伝えられるようにがんばっています。もちろんライダーとして、ルールやその場の条件にそって走行するというのは絶対条件ですね」

――トライアルはフィジカルも必要不可欠な競技だと思います。普段から行なっている体づくりやトレーニングはありますか。

「基本的にバイクに乗って技術を競う競技なので、当然ですがバイクで練習する時間をなるべく増やしています。1週間、毎日欠かさず乗る。1回の練習で2時間~3時間乗れるようにすることは重要です。あとは年齢的にも選手の中で上のほうになってきたので、暴飲・暴食をしないなどはもちろん、体調を崩さないように気をつけています。自分の中でルーティーンにしているトレーニングがあるので、それをしっかり毎日、ズルせずにやり続けると決めて取り組んでいます」

――どんなルーティーンなのでしょうか?

「ジムに行かないとできないウエイトトレーニングではなく、出張先のホテルや控室でも鍛えられるように、腕立て伏せやスクワット、腹筋などの自重トレをメインに取り組んでいます」

――そういった取り組みはいつ頃から?

「中学校を卒業するくらいからやっていますので、30年~35年くらいになります。もちろん長い人生ですから、がっつりジムで鍛えて『ボディビルダーくらいになろうかな』というくらいやった時もありますし、持久走をメインに取り組んで痩せた時期もあります。紆余曲折ありましたけど、今は一応ここに落ち着いています。トライアルもトレーニングもそうですけど、大事なのは継続かなと。やはり1年、2年では結果はなかなか出ないですから、5年から10年というスパンで結果が出るように続ける。というのが一番重要だと思っています」

――トレーニングの結果はどのくらいから出始めたのでしょうか?

「始めて3か月から半年くらいで『ちょっと変わってきたかな』という感じがしました。でもやっぱり、僕らは競技で結果を示さないといけないので、レースの結果に影響したのがメンタルの部分なのか、トレーニングの成果なのか、技術の向上なのかはわからない部分があるんですよね。だからこそ長い間継続して、確実に競技の力になるくらいのフィジカルをつけることが大事だと思っています」

――それだけ長い期間、競技やトレーニングを継続できるメンタル的な秘訣は?

「好きだからだと思います。あとは、普段は競技でずっと人と競っていますが、今回のようにパフォーマンスで皆さんに楽しんでもらえることもモチベーションになっています。僕を見て喜んでくれる人を見た時に、『この競技をやっていてよかったな』とか、『この立場でイベントに呼ばれてよかったな』と思う、そういうワクワクが大きいです。本当にそういったものを原動力に、40年近くやっていますね」

――世界でも日本でも、トップを目指す上で大事な要素は何だと思いますか?

「人に惑わされないこと。あとは、よくも悪くも個性をある程度大事にすることです。だからこそ継続が重要だと思います。そして、皆と一緒でいいという考えだと、やはり頭ひとつ突き抜けることはできません。自分自身としてはこれからも『楽しさ、面白さ、技術』を見せた上で、ライダーとしての安全意識をしっかり持って、パフォーマンスやレースで個性を発揮できたらと思っています」